「自分でつくった老後資金は自分のために使うべきだ」と主張する和田秀樹氏。昨今流行のエンディングノートや遺言、お墓準備など、遺族のためを思って行う「終活」も無意味であるといいます。和田氏の著書『老害の壁』(エクスナレッジ)より、その理由について詳しくみていきましょう。
エンディング・ノートも遺言も“無意味”?…東大卒の医師・和田秀樹が「終活はしなくていい」と言い切るワケ
自分で稼いだお金の使い道は、最期まで自分で決めていい
でも今はそうなっていないわけですから、やっぱり子どもに財産は残さないほうがよいと思います。
長生きすればいつかは介護が必要になってくる可能性があります。そこで、お金をいっぱい持っている人が、サービスがとてもよい介護付き有料老人ホームに入ろうとしたとします。例えば、10年償還で1億円の老人ホームに入ったとすると、10年たつと、子どもたちの相続分が1億円減ることになります。
それを嫌がる子どもたちは、「そんな立派な老人ホームに入らなくても、俺たちが面倒みるよ」とか口では言うものの、実態はヘルパーに全部まかせっきりで、親身になって面倒を見てくれないかもしれません。
介護される側としては、せっかくよい介護サービスを受けるためのお金を持っていたのに、最低なサービスを受けることになってしまうのです。
そもそも、自分で稼いだお金なのに、その使い方をなぜ子どもにあれこれ言われなければならないのでしょうか。きょうだいがいれば喧嘩の元になりますし、子どもにお金を残してよいことは1つもないと思います。
昭和の時代のように、親が死んだときに子どもが30歳ぐらいだったら、遺産を孫の教育費や、子どもの家のローンにも使えるかもしれません。
でもみんな長生きする時代の今なら、親が死んだとき、子どもは60代くらいになっています。子どもが家のローンを払い終わって、その子ども(孫)の子育ても終わっているのですから、お金を残してあげる必要はありません。
和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表