なにがあるかわからないから……親が高齢になるにつれ、免許返納を勧めたり、海外旅行をやめるよう助言したりと、子どもは親に対しあれこれと心配し始めます。しかし、東大卒で精神科医の和田秀樹氏は「子の心配は恐れず、行動せよ」といいます。なぜなら、子が親を心配するのには“本当の理由”が隠れているからだそう……。和田氏の著書『老害の壁』(エクスナレッジ)より、詳しくみていきましょう。
絶対ダメ、騙されているに決まっている!…子どもが「高齢ひとり親の再婚」に反対する本当の理由【和田秀樹の見解】
たとえ“老害”と言われても…子どもにお金は残さず「自由恋愛」すべし
残された人生、好きなことをするにはそれなりにお金も必要ですが、大事なことが1つあります。それは、子どもにお金を残してはいけないということです。
子どもに金を残さないというと、それこそ子どもたちから老害と言われそうですが、気にしてはいけません。それに、子どもにお金を残すと、ろくなことがありません。
こんな話をよく聞きます。そこそこ財産のある高齢男性が、妻と死別したとします。そして、なじみの料理屋の女将さんと仲よくなったとします。2人が愛し合って、結婚しようと思ったら、子どもたちに大反対されるといった話です。
逆に、夫を先に亡くした高齢女性にもありそうな話です。女性はけっこう財産があり、若い男性と恋に落ちて、結婚することになったとします。そして、その男性がほとんどお金を持っていなかったりすると、やっぱり子どもたちから反対されるのです。
反対の理由は「再婚なんてダメ。そんなの騙されているに決まっている」です。しかし、改めて言うまでもありませんが、結婚は両性の自由意思でするもの。ところが高齢になると、そんな自由意思すらも認めてもらえません。免許返納もそうですが、この国では高齢者の自由意思はどんどん奪われていくのです。
いったい何のためにお金を稼いできたのでしょうか。こういうケースでは、お金をいっぱい持っている人ほど不幸です。それでも、子どもの反対を押しきって、再婚したらきっと子どもから老害と呼ばれるでしょう。
でも子どもにお金を残す義務はありませんし、子どもといっても成人しているのですから、お金を残せば子どもを甘やかせるだけではないのでしょうか。