花岡智さん(62歳)は地元企業で長年働いた後、60歳で定年退職。その後、再雇用制度を利用して現在も働いています。もらった退職金2,000万円をどうしたらいいのか悩んでおり、預金に入れたままで老後生活が成り立つなら、それでもいいのかもと考えつつ、新NISAを活用しつつ投資に回して増やしたほうがいいのか?とも考えています。しかし、大きなお金を投資に回す場合、十分な知識と計画がないと、先々「選択を誤った」と後悔する可能性もあります。この記事では、花岡さんが直面する課題をもとに、FPの青山創星氏が新NISA投資のポイントと注意点について詳しく解説します。
「退職金2,000万円をがつんと投資に回せば、悠々自適な老後が手に入る…」新NISAで一攫千金をもくろむ62歳男性が一転、考えをあらためたワケ【FPの助言】
大暴落時にはどうしたらいい?
花岡さんは、投資をすることで逆に退職金が減ってしまうことを懸念していました。そのリスクについて問いかけると、永瀬FPからこう答えが返ってきました。
「過去の実績では、世界株は20年~30年にわたって一方的に下がり続けたことはありませんが、一時的な大暴落がないとは言えません。特に年齢が高くなると、相場が戻るまでの時間が限られているため、大暴落が起きた場合のリカバリーが困難です。そのため、リスクを理解して慎重な運用をする必要があります。
一方で、長期のつみたて投資では、積立期間中に相場の下げがあるのは大チャンスです。その間に平均購入単価を下げることができ、将来の資産価値の大幅増につながるからです。長期の積立投資成功のためには、この仕組みの理解が欠かせません。
短期的な大暴落などがあると動揺して投資をやめてしまう場合がありますが、これが投資失敗の大きな原因の一つです。ここで売ってしまうと損失が確定してしまいます。
花岡さんはつみたてNISAを利用していたのである程度お分かりかと思いますが、投資は追い詰められてするものではありません。不安が大きいなら投資金額を控えめにしておいたり、現金でもっておく割合を増やしたり、あるいは世界株以外に債券連動の投資信託にも分散投資するなどした方がよいでしょう。
とはいえ、リスクとリターンは表裏一体で、ある程度のリスクをとらなければ資産は増えないということも考慮しなければなりませんね」
花岡さんは、三国志の有名な天才軍師、諸葛孔明(しょかつこうめい)の「座して死を待つよりは出て活路を見出さん」という言葉を思い出していました。退職金をすべて預金のままにして老後を最低限の生活で耐えるか、新NISAの積立投資をしてゆとりある老後生活の可能性を高めるかの選択を、今こそする時だということを理解しました。