下宿をする大学生のベースになるのは「親の仕送り」。親のサポートで優雅な大学生生活を謳歌しているケースもあれば、困窮に瀕するケースも珍しくはありません。みていきましょう。
上京して3年の大学生(20)仕送り〈月5万円〉に減らされ窮地…1日ぶりの食事に涙する「苦学生の実情」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高度な教育を受けたいなら「自己責任」で…苦学生増加の背景

全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』によると、下宿生の仕送りは平均7万0,120円。奨学金1万9,660円、アルバイト代が3万6,110円など、収入の合計は12万9,240円。それに対し、支出は平均12万7,750円。月に1.4万円ほどの余裕があります。平均値と比べると、前出の学生の困窮ぶりがわかるでしょう。

 

【大学生(下宿生)月の家計】

■収入

12万9,240円

(内訳)

小遣い:7万0,120円

奨学金:1万9,660円

アルバイト:3万6,110円

定職:420円

その他:2,940円

■支出

12万7,750円

(内訳)

食費:2万5,880円

住居費:5万4,130円

交通費:4,330円

教育娯楽費:1万2,840円

書籍費:1,500円

勉学費:1,260円

日常費:7,330円

通話通信料:3,190円

その他:2,290円

貯金・繰越:1万4,740円

 

また2023年、学生の暮らし向きは、「楽な方(大変楽な方と、楽な方の合計)」が63.7%に対し、「苦しい方(苦しい方と、大変苦しい方の合計)」が7.2%と、14人に1人の水準。割合にすると少なく感じますが、日本の大学学部生は250万人強といわれているので、数にすると18万人ほど。非常に多く感じられるのではないでしょうか。

 

これから冷房が必須の季節になりますが、ここにきて大手電力会社10社すべてで、家庭向けの電気料金が6月使用分から400円程度値上げとなるとされています。

 

――研究室に寝泊りする日が増えそう

 

支出を抑えるのに必死です。OECDによると、「政府支出に占める公的教育費(大学生)割合」はOECD平均で2.73%に対して、日本は1.56%。47ヵ国中43位です。さまざまなデータをみても、日本は公的な教育費を十分に支出しているか、疑問が残る結果です。

 

――高度な教育を受けるなら自己責任でどうぞ

 

そんなスタンスで進められる日本の教育。苦学生の存在は、今後ますます増えていきそうな予感です。

 

[参考資料]

株式会社ガクシー『奨学金に関する実態調査2023年』

全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』