「損したくない」という思いは誰しもが持っているもの。しかし、株式投資の場面においては、この「損をする」ことへの捉え方が、お金を増やせるか否かを大きく左右することになります。ファイナンシャルアドバイザーである長谷川伸一氏の著書『お金の動きに強くなる投資の入口』(総合法令出版)より、詳しく見ていきましょう。
買った株の株価が下落した…「余計に損失を大きくしてしまう人」が陥っている危険な心理状態とは【投資のプロが助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「後悔したくない」という心理は投資にどう影響する?

人は誰でも後悔したくないと考えます。ですから、無意識のうちに後悔を避ける選択肢を選ぶ傾向があるのです。

 

投資においては、「何もしないこと」が一番後悔の少ない選択肢です。株を購入して損をした場合にダメージが少ないのは、他人が薦める株を購入した場合です。最もダメージが大きいのは、自分の判断で株を買って損をしてしまった場合になります。後悔したくないという気持ちが大きい人は、ダメージのより小さい選択肢を選びます。これを「後悔の回避」といいます。

 

上昇トレンドの場合に、一時的に株価が下がることを「押し目」と呼びます。押し目の場合、株価はまだまだ力強く上昇していますから、多少下落してもすぐに戻るものです。

 

出所:
[図表]押し目 出所:『お金の動きに強くなる投資の入口』(総合法令出版)より抜粋

 

一方で、「この株価の下落は押し目だ」と読み、買い注文を出したところ、そのシナリオが崩れ、一気に下降してしまったとしましょう。あなたは「こんな株を買うべきではなかった」と後悔するはずです。このときの正しい行動は損切りです。

 

でも、お金を減らす人は、この後悔をしたくないがために、自分の想定したシナリオにしがみつき、何も行動を起こさないのです。「いやいや、必ず巻き返して上昇するはずだ」と自分に都合のいい期待をしてしまうのです。

 

一度崩れてしまった株価は100日たっても回復しないことが多いものです。落ちるのは早いですが、元の株価に戻るのには時間がかかります。「後悔したくない」という心理が、余計に損失を大きくしてしまうのです。

 

お金を増やす人は、自分の想定していたシナリオが崩れたときは、謙虚にそれを受け入れます。そして冷静に判断し、売却するわけです。

 

株式投資に願望や期待を持ち込んではいけません。他人に責任を押しつけるのもお門違いです。

 

 

長谷川 伸一
ファイナンシャルアドバイザー