子世代に重くのしかかる介護負担。仕事との両立に限界を感じ、悲鳴をあげているケースも。そんなとき、選択肢のひとつになるのが「老人ホーム」です。昨今は終の棲家としても人気が高まっていますが、問題になるのがその費用。シミュレーションをしっかりしておかないと、とんでもないことに。みていきましょう。
「年金月17万円」「貯金1,500万円」の80歳父、「有料老人ホーム」に入居で息子、安堵も〈想定外の請求額〉に唖然「目を疑いました」 (※写真はイメージです/PIXTA)

入所して初めて「老人ホームからの請求」…想定外の金額に仰天

老人ホーム費用、5年ほどは父親の貯蓄&年金で賄える……シミュレーション上はそうでした。しかし、その算段は、入所して初めの1ヵ月でもろくも崩れ去ります。

 

――えっ、何でこんなに高いんだ? 月24万円だったはず

 

老人ホームからの初めて月額費用の請求&引落し。明細をみた男性は目を疑ったといいます。請求額は29万円ほど。想定よりも5万円も高いものでした。月額費用に含まれるのは賃料や管理・水道光熱費・食費で、雑費は含まないことは入所前に説明がありました。しかし5万円もかかるとは……。

 

有料老人ホームでは、月額利用料のほか「おむつなどの日用品」「嗜好品」「理美容代」「医療費」「レクレーション参加費」などが別途かかり、月額費用とは別に平均月2万円程度が別にかかるといわれています。そんな金額を考えずに費用計算をしているケースは多く、何が月額費用に含まれ、何が含まれていないのか、入所前に細かく聞いておくことが重要です。

 

さらに想定外だったのが、昨今のインフレ。父親の入所から1年後ほど経ったとき、施設から「月額費用の値上げ」の連絡があったといいます。このご時世、人件費はもちろん、水道光熱費や食費も値上がり。このままの価格では、ホームの運営が立ち行かなくなる……時代の流れ、仕方がありません。ただ値上げ額は月3万円にもなるというから、男性も思わず「えっ⁉」と大きな声が出てしまったといいます。

 

入居一時金を払った後の、父親の貯蓄額は500万円ほど。1年目は170万円ほど貯蓄を取り崩しました。2年目は月額費用が「24万円」→「27万円」に。さらに毎月の雑費についてもインフレの影響で、月5万円ほどとなり、取り崩し分は200万円を超えそう。そうなると3年目で貯蓄はすべて底をつくのは見えています。

 

そんな計算をして、思わずネットに投稿したのが冒頭の言葉。男性のように、親の介護費用に右往左往される子供世代は、今後、ますます増えていくといわれています。親が長生きをすればするほど、子供は経済的負担を強いられる。そんなケースもあるでしょう。

 

長寿であることが、なんら、おめでたくもない……そんな時代が訪れようとしています。