新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受けた旅行業界ですが、コロナ禍が明け、旅行やレジャーに出かける人も増加しています。そこで、本稿では、最新のITテクノロジーを活用したトラベルテックについて紹介します。ホテルの予約や交通機関の予約、旅行中のスムーズな決済サービス(キャッシュレス)、GPSと連動した観光地案内など、ITテクノロジーと連動してシームレスに旅行を楽しめるテックやサービスを紹介。自分に合ったテックやサービスを活用してより快適な旅をアレンジしてみてはいかがでしょうか?
旅行をスムーズにする「トラベルテック」 観光×ITでアフターコロナの旅はどう変わる? (※写真はイメージです/PIXTA)

トラベルテックの市場規模は?

ITと旅行が結びつくことで、さらなる成長が期待されるトラベルテックですが、市場規模はどのくらいなのでしょうか? 市場規模は、国内市場では現在約8,943億円と推計されており、今後5年間で37.29%成長し、1兆2,278億円に達すると予測されています。*3

 

一方、世界のトラベルテック市場の売上高は2022年に約94億米ドルであり、2023年から2032年までの予測期間中には8.6%の複合年間成長率で成長すると予測されています。*4

 

トラベルテックの市場規模を見ると、国内外問わずに急速な拡大が見込まれており、旅行業界におけるデジタル技術の重要性がますます高まっていることを示しています。

 

なお、国内市場規模で推計されているトラベルテックは、旅行者向けサービス全てを指しており、世界の市場規模では旅行予約や計画、支払いなどを自動化するオンライン予約のみを指しているため、国内外で金額感は異なります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

それでは、具体的にどのようなデータやテクノロジーが旅行や観光に関わってくるのでしょうか。ここでは、旅行・観光に関わる以下のテクノロジーを紹介します。

 

  • ビッグデータ
  •  AI
  •  ロボットや自動化

 

順に解説します。

 

ビッグデータ

ビッグデータは、観光客の人数や移動範囲などの情報を収集し、その行動を分析することで、様々な施策やサービスの改善に役立てられています。

 

例えば、京都観光快適度マップ*5では、観光スポット周辺の混雑状況や観光快適度の予測、リアルタイムな情報提供を通じて、観光客がより快適に旅行を楽しむことができるよう支援しています。また、ビッグデータの分析により、地方活性化や観光プラン、交通機関のダイヤ改正などにも役立っています。

 

AI

旅行・観光に関わるテックとして、AIも外せません。ユーザーの好みや過去の行動を分析し、最適な旅行先やホテル、航空券を提案するだけでなく、過去の旅行履歴や検索履歴を元にユーザーに適した旅行プランを提案する役割を果たしています。

 

また、AIチャットボットがカスタマーサービスを担当し、ユーザーとの対話を通じて情報提供やサポートを行うこともあります。

 

例えば、多言語生成系AIチャットボット「Kotozna laMondo(コトツナ ラモンド)」*6は、大阪に訪れた旅行者の質問に対して、大阪の観光情報を提供するWEBサイトの情報をもとに自然な言葉で回答しています。

 

さらに、災害・事故など緊急性の高い情報をリアルタイムに伝えるAIサービスや、画像解析や音声技術を活用した防災AIの開発も行われており、旅行者の安全や快適性を向上させるために重要な役割を果たしてくれるでしょう。

 

ロボットや自動化技術

ロボットや自動化技術もトラベルテックとして注目を集めています。ロボットが受付業務や案内業務を担当することで、スムーズなサービス提供や効率的な対応が可能になります。

 

さらに、自動チェックインやチェックアウトのサービスも普及しており、旅行者は手間を省いて快適に滞在を楽しむことができます。このようなロボットや自動化技術の導入により、観光施設の運営やサービス品質の向上が図られています。