シニアになっても人間関係での悩みは尽きないもの。冠婚葬祭で声がかかると「義理もあるし行かなければ…」と思いつつ、気が重くなることもあるでしょう。また、年金暮らしの中で「お金の貸し借り」に悩むこともあるかもしれません。そんなとき、いったいどのように対処すれば心が軽やかでいれるのでしょうか。今回は、シニア世代の名医・保坂隆氏の著書『お金をかけず気軽にできる 「ひとり老後」が楽しい77の習慣』(KADOKAWA)から、老後の「人づき合い」のコツをご紹介します。
シニアの頭を悩ませる「葬儀の参列」「お金の貸し借り」…心を軽やかにする「人づき合い」の考え方【精神科の名医が助言】
「お金は貸さない」と決めれば気が楽
仲のいい友だちにお金を貸したために絶縁したというケースは世間にたくさんあります。「お金を貸すのなら、あげたと思え。戻ってくると思うな」という言葉があるように、金銭の貸し借りにはトラブルがつきものです。
大切な関係を続けたいと思う人には、お金を貸さないほうが賢明なのですが、「あなたにしか頼めない」と頭を下げられたり、相手の困った状態を知っていれば、なんとか力になりたいと思うでしょう。
しかし、きちんと返されればいいのですが、返ってこなければ、お金を返さない=信頼を裏切った、となります。
私自身は、借金は試金石だと思っています。食事代の立て替えのような少額の貸し借りは別ですが、借金の申し込みを断ったために、その後のつき合いが断絶するような人は、いつかは自分から離れていく人だったと思えばいいのではないでしょうか。
「苦しいときに手を差し伸べてくれないなんて、本当の友だちじゃないな」というのは、借金する側の勝手な論理だと思います。
どんなに頼まれたとしても、「お金は貸さない主義」を一貫させて、断ればいいと思います。本当の友だちであれば、断る側の気持ちもくみ取ってくれて、苦しい思いを理解してくれるでしょう。
心豊かな老後を過ごすためには、「人にお金は貸さない」と決めてしまうと心が軽くなるでしょう。
保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長