ひとりであれこれ悩んでしまう…その対処法は?

衣食住や人間関係に何のトラブルもない暮らしを送っているように見える人でも、何らかの不安や悩みはあるでしょう。

たとえば、持病を抱えていて、いつ発作が起こるか不安だとか、このところ車の運転に自信が持てなくなってきたとか、病気で病院に入院している子どものことが気がかりだなど、誰にでも一つや二つ、心に引っかかるものがあるものです。

しかし、ひとり暮らしの生活が成り立っているのなら、それを維持するのが最優先課題で、よけいなことはあまり考えないようにしましょう。すぐに解決すべき問題が起きているのならともかく、そうでなければ、あるかどうかわからない「もしも」に心を惑わされることはありません。

「杞憂(きゆう)」という言葉があります。「杞の国のある人が、天が崩れ落ちてこないだろうかと心配した」という中国の故事に由来する言葉で、心配しなくてもいいことを心配することです。

「私は心配性で、あれこれ気になって仕方がない」という人は、不安に思っていることを、ひととおり書き出してみましょう。

たとえば「持病の腎臓病が悪化していくのが不安。人工透析になるのだろうか」「車を運転していて、ヒヤッとしたことが重なった。いつまで運転できるだろうか」「目がかすんでハッキリ見えないことがある。もしかしたら失明してしまうのか」など、心配ごとのリストを作るわけです。

次に、その対策と解決法を客観的に考えます。「腎臓病は定期検査を欠かさず受ける。ドクターの説明をきちんと聞く」「車の運転は安全第一を心がける。外出するときはできるだけ公共交通機関を利用する」「眼科の診察を受ける。緑内障や白内障の検査をして、必要なら手術を受ける」などなど。

そして、ひとつずつ実行していきます。リストアップした項目には、自分で解決できないものもあるでしょう。たとえば、病気については病院頼みになるのは当然です。

もし「かかりつけの病院はあるけれど、診察してもらうとしたら別の診療科のような気がする」という場合なら、まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。そのドクターが内科の専門医だったとしても、「こんな症状があるんですけど、どこの病院の何科で診てもらえばいいでしょうか?」と尋ねれば、信頼できる病院やドクターを紹介してもらえるはずです。

ひとりでグズグズ悩んでいたところで問題は解決しませんし、それに、すべて自分で解決する必要などありません。誰かを頼るのも、ひとり暮らしの特権と考えましょう。

保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長