過去の失敗を悔いたり現状に不満を言ってその場から動けずにいる…そんな時間は、先が長いとはいえないシニアにとっていわば人生のロスです。状況は変わっていなくても、自分の考え方次第で物事がよい方向に進むことがあります。今回はシニア世代の名医・保坂隆氏の著書『お金をかけず気軽にできる 「ひとり老後」が楽しい77の習慣』(KADOKAWA)から、ひとり暮らしのシニアがクヨクヨすることなく毎日を過ごすために習慣化したい「考え方」をご紹介します。
「なんくるないさ」を見習う
ちょっとしたミスなのに何度も何度もお詫びを言い、ときには落ち込んで立ち直れなくなる人がいます。一方で、同じ失敗を何度も繰り返したり、他人に迷惑をかけ続けても平気な人もいて、世の中は本当に不思議なものです。
失敗したときに反省は必要ですが、それにとらわれすぎると、先へ進めなくなってしまうでしょう。そこで立ち止まるよりも、取り返せばいいと前向きに考えるほうがいいと思いませんか?
さて、沖縄には「なんくるないさ」という言葉があります。わかりやすくいえば「なんとかなるさ」という意味です。失敗したり困ったことがあっても、「これくらい平気だ」と自分自身に言い聞かせて、また最初の一歩から始めるという前向きな気持ちの言葉です。
もちろん、家族や友だちが不安をかかえていたり、窮地に追い込まれたりしたときに励ます言葉としても使われています。「たいしたことないから心配するな」「大丈夫だから元気を出していこう」といった肯定的なニュアンスも含んでいるのです。
沖縄といえば、時間の感覚が比較的のんびりしていて「沖縄時間」という名まであるくらい。大都市の分単位、秒刻みの生活とは違う暮らしが営まれているためかもしれません。
そして、澄みきった空のもと、青い海に囲まれ、おだやかな気候という豊かな自然に恵まれれば、日々のちょっとしたトラブルなんて取るに足らない問題と思えてくるのでしょう。
若い人には反省する時間がたっぷりありますから、しっかり反省するのも大切でしょう。しかし、シニアにとっては、失敗を引きずって長く後悔しているのは、いわば人生のロスです。
「なんくるないさ」の精神で気持ちを切り替え、その先へと進むことを考えれば明るく前向きになるはずです。