65歳以上の高齢者の4人に1人が働く時代。60代後半で5割、70代以上で2割弱の人が働いています。このなかには、高齢者の生活を支える公的年金がゼロ、または極わずかという人も。みていきましょう。
「好きに生きてきた代償だな…」月収〈16万円〉72歳の日雇いバイト、年金〈月1万円未満〉の現実

70代でも「働けるなら働いてください」と、生活保護申請は却下

――夏は地獄のようだよ

 

今年、72歳になる男性。日雇いで交通整理などのアルバイトをしながらコツコツと生活費を稼ぐこと、月16万円ほど。そんな生活を振り返りながら、その苦労を語ります。

 

――年金⁉ 微々たるもんだけどもらってるよ

 

その額、月1万円未満。年金保険料は払えるときに払うというスタンスだったといいます。そのような額をもらったところでどうにもならない、と思えますが、男性は「ないよりはまし」と笑います。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、無年金とまでいかなくても、年金月1万円未満と低年金状態にある人は、国民年金受給者、厚生年金保険(第1号)受給者、それぞれ6万人ほど。

 

もちろん年金がもらえなくても、低年金であっても、それをカバーできるだけの収入や貯蓄があれば問題ありませんが、そのようなケースは稀。多くが生活困難に陥っています。

 

――70を超えてから、あんまりにも生活が苦しかったから生活保護を申請したことがある

 

しかし男性の場合、「(健康なので)まずは働いて、生活を立て直しましょう」と申請は却下されたといいます。年齢がさらに高齢であれば考慮されることもあるといいますが、働けない理由が特別にない限りは、まずは働くことを勧められ、それでも最低生活費に達しない場合、その差額が支払われるというのが基本です。

 

高校を卒業して以来、定職にはつかず、夢を追ってきたという男性。

 

――好きなことだけをやってきた代償だな

 

いまの現状を受け入れるしかないといいます。

 

[参考資料]

日本年金機構『国民年金保険料の変遷』

厚生労働省『令和3年 簡易生命表』

日本年金機構『令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況』

厚生労働省『令和4年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』