「また今度」を「次は〇〇日」にしてみる

芸能界の挨拶は不思議なことに、朝はもちろん、昼間でも、夕方でも、さらには深夜でも「おはようございます」だそうです。

先にいた相手に、「早くからおつかれさまです」というねぎらいの気持ちから始まったとか、不夜城とも呼ぶべき業界だから「四六時中、おはようございます」と言っておけば間違いないからとか、昔から使われているから、とりあえずその挨拶ですませてしまえばいいから、などの話を聞きますが、どうやらルーツははっきりしていないようですね。

いわゆる「ギョーカイ」では、久しぶりに会った相手に「よう!久しぶり。最近どう?」から始まって、ひとしきり会話を交わすと「じゃ、そのうちに飯でも食おうよ」と言いながらその場を離れるのも慣習だそうです。しかし「そのうちに」が実現することは、ほとんどないのです。

私たちも、久しぶりに会った相手と「ご無沙汰ですねぇ」などと話を始め、お互いの近況などを話し終わると、「また今度、ゆっくりと話をしましょう」などとは言うものの、そのままになってしまうことが少なくありません。

たしかに、コロナ禍の最中には人と会うのがためらわれたものですが、それなりに落ち着きましたから、感染に気をつけたうえで、会ったり食事をしたりしても問題はないはずですね。それなのに「また今度」となり、しかも再会や飲み会、食事会が実現しないのはなぜでしょうか? 

知り合いの営業マンから、こんな話を聞きました。

「偶然、大学時代の先輩とバッタリ会ったところ、ご多分に漏れず『いやぁ久しぶりだなぁ』から始まり、『最近、どう?』と、お互いの近況を簡単に伝え合いました。その先輩は『近いうちに飯でも食おう』と言いながらスマホを取り出し、自分のスケジュールを確認しながら、『で、いつにする?』と。お互いの予定を確かめたかと思ったら、その場で日程を決めてしまったんです」

「場所はあとで、いくつかの候補をメールするから」と連絡先を交換すると、「じゃあな」と別れ、さっさと次の目的地に向かっていったのだとか。その見事さに、営業マンは唖然とするばかりだったそうです。

「たしかに、学生時代からせっかちな先輩でしたが、それにしても、なんだかつむじ風みたいでした」

なるほど、こうすれば「また今度」ではなく、「次はいつ」を設定できるというわけですね。私も機会があれば、この手をぜひ使ってみようと考えています。

保坂 隆

保坂サイコオンコロジー・クリニック院長