食べ過ぎていないのに太るという人は食事以外の原因を疑う必要があるかもしれません。本記事では順天堂大学医学部教授の医師、小林弘幸氏による著書『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法』(アスコム)から一部抜粋して、腸活によるダイエットについて解説します。
食べ過ぎなくても太る「恐怖の理由」…やせるために必要なたった1つのこと【医師が解説】
2.腸内細菌が「やせる物質」を生産してくれるから
腸活がダイエットに欠かせない2つ目の理由が、腸の中にいるビフィズス菌などが「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」というやせる物質を産生してくれるからです。これは、ビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌が、食物繊維やオリゴ糖などをエサとして食べることで産生する、代謝産物の1つです。
「短鎖脂肪酸」にはいくつかの種類があり、どれもさまざまな健康効果から今注目されている物質です。なかでもダイエットと結びつくのが「酢酸(さくさん)」と「酪酸(らくさん)」です。
「酢酸」は、脂肪細胞に余分なエネルギーが取り込まれるのを防いで、脂肪をたまりにくくしてくれます。また、「酪酸」は、交感神経に働きかけて、心拍数や体温を上昇させ、代謝を高めてくれる効果があります。
この「短鎖脂肪酸」の恩恵をうけるには、善玉菌が元気でなくてはなりません。そのためには、善玉菌が元気に活動できる環境を整える必要があります。そして、その環境こそが腸内に便がたまっていない状況なのです。
つまり、代謝を下げる自律神経の乱れから身を守るためにも、やせる物質である「短鎖脂肪酸」を体内で多く産生するためにも、腸内環境をよくする腸活は、欠かせないものなのです。
小林 弘幸
順天堂大学医学部教授