2.腸内細菌が「やせる物質」を生産してくれるから

腸活がダイエットに欠かせない2つ目の理由が、腸の中にいるビフィズス菌などが「短鎖()脂肪()酸(たんさしぼうさん)(」というやせる物質を産生してくれるからです。これは、ビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌が、食物繊維やオリゴ糖などをエサとして食べることで産生する、代謝産物の1つです。

「短鎖脂肪酸」にはいくつかの種類があり、どれもさまざまな健康効果から今注目されている物質です。なかでもダイエットと結びつくのが「酢酸(さくさん)()」と「()(らくさん)」です。

「酢酸」は、脂肪細胞に余分なエネルギーが取り込まれるのを防いで、脂肪をたまりにくくしてくれます。また、「酪酸」は、交感神経に働きかけて、心拍数や体温を上昇させ、代謝を高めてくれる効果があります。 

この「短鎖脂肪酸」の恩恵をうけるには、善玉菌が元気でなくてはなりません。そのためには、善玉菌が元気に活動できる環境を整える必要があります。そして、その環境こそが腸内に便がたまっていない状況なのです。

つまり、代謝を下げる自律神経の乱れから身を守るためにも、やせる物質である「短鎖脂肪酸」を体内で多く産生するためにも、腸内環境をよくする腸活は、欠かせないものなのです。

小林 弘幸
順天堂大学医学部教授