残された家族が生活に困窮しないようにと支給される「遺族年金」。受け取るには、いくつかの要件がありますが、そのなかのひとつが収入要件で、年収850万円未満(または所得655.5万円未満)でなければ、支給の対象外となります。では、どれくらいの人が支給の対象外になる可能性があるのでしょうか。みていきましょう。
45歳「月収40万円」の夫急死も、年金事務所「遺族年金は支給できません」に妻、撃沈…その後、収入減でも「やっぱり遺族年金は支給できません」に再び撃沈

「収入が減りました、遺族年金はもらえますか?」の問いに年金事務所は…

たとえば、20~45歳まで平均的な給与を手にしてきたサラリーマンが亡くなったとしましょう。遺族が手にできる遺族年金は、以下の通りです。

 

●遺族基礎年金…子ども1人の場合:月8.75万円、子ども2人の場合:10.71万円

●遺族厚生年金…月4.31万円

 

ただ「たまったもんじゃない!」と声を挙げるのは、正社員で頑張ってきた高給取りの妻です。頑張って、頑張って、頂点を極めたのに、愛する夫を失くして悲しみにくれるなか、年金事務所からは「遺族年金⁉ あなた様の場合は……要件を上回る収入があるので、遺族年金は受け取ることができません」といわれてしまう、そんな辛い目に直面します。

 

そもそも遺族年金は、亡くなった人に養われていた遺族が、この先、生活に困らないようにと支給されるもの。そのため緩いながらも収入要件があります。このような主旨から鑑みると、高給取りの妻は、

 

――大丈夫、遺族年金がなくても、あなたは生きていけますよ

 

と太鼓判を押されたようなもの。遺族年金の対象ではなくても納得するしかありません。しかし、年金事務所に「収入が下がったので、遺族年金の申請にきました」と、(元)高給取りの妻。確かに、常に年収850万円以上をキープできるとは限りません。会社の業績が落ち込み収入減、転職をしたことによる収入減、働き方の変更に伴い収入減……さまざまな理由で「収入減」となる可能性は十分にあるでしょう。

 

そんなとき「遺族年金の収入要件を満たした!」と再び年金事務所に訪れたらどうでしょう。

 

――それは大変ですね、分かりました。向こうで手続きを……

 

となるかといえば、答えはNO。再び、「あなたに遺族年金は支給できません」と言われるのが目に見えています。

 

冒頭に記した通り、遺族年金は「被保険者が亡くなった当時、収入が850万円を下回っていること」が条件。このあと、どんなに収入が減ろうかなんだろうか、遺族年金の対象外であることに変わりはないのです。逆をいうと、遺族年金の受給確定後に、年収がどんなに増えようと、受給権は失権しません。このことも、高給取り妻が納得できない一因かもしれません。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『遺族年金』