総務省『令和5年地方公務員給与実態調査結果等』が発表され、最新の地方公務員の給与事情が明らかになりました。みていきましょう。
47都道府県「公務員の平均給与」最新ランキング…1位と47位に広がる「同じ公務員でも100万円の年収差」の理由

地方公務員の平均給与…都市と地方の給与差の理由

都道府県ごとの給与をもう少し詳細にみていくと、平均給与トップの東京都職員の平均年齢は42.4歳、青森県職員は42.7歳。年齢に大きな差はありません。各種手当てなどを含まない給料、民間企業でいう基本給は東京都が31万6,277円、青森県が30万9,445円。こちらも大きな差はありません。一方で諸手当は東京都が13万5,145円に対し、青森県が6万1,101円。ここに東京と地方、給与格差の要因がありました。

 

給料額のトップは「三重県」で33万0,856円、最下位は「千葉県」で30万3,122円。その差は3万円弱。一方で諸手当額のトップは「東京都」で「大阪府」「神奈川県」「愛知県」「宮城県」と、大都市を有する地域が上位にきます。一方で諸手当額が最も低いのが「佐賀県」で5万8,063円。「沖縄県」「青森県」「福井県」「秋田県」と地方が並びます。

 

地方公務員の諸手当は、地域手当や時間外勤務手当などの15つの「職務関連手当」、扶養手当4つの「生活関連手当」、初任給調整手当など3つの「人材確保手当」、通勤手当など4つの「その他の手当」と、計26つの手当てがあります。この調査における諸手当は、民間企業における賞与にあたる、期末手当や勤勉手当を除くものになります。「東京都」では国基準を上回る地域手当を支給。これが東京と地方の給与差の大きな要因となっています。

 

また地方公務員の給与を語る際に耳にする「ラスパイレス指数」。これは地方公務員の学歴・経験年数別の人員構成を、国家公務員と同一と仮定し、国家公務員を100として算出する数値で、国家公務員と地方公務員の給料水準を比較する際に使われるものです。ラスパイレス指数が100を超えるほど、国家公務員の給料水準より地方公務員の給料水準が高いということになります。

 

ラスパイレス指数が最も高いのは「静岡県」で102.2。ほか15の府県で100を超え、全都道府県平均は99.6。 最も指数が低いのは「鳥取県」「鹿児島県」で96.2でした。

 

公務員の給与の基本は民間準拠。そのため上がるのも下がるのも、民間企業よりも一歩遅くなります。2024年の春闘で高い水準の賃上げの妥結が相次いだことは、まだ記憶に新しいでしょう。この結果が反映されるまで、あともう少しかかりそうです。

 

[参考資料]

総務省『令和5年地方公務員給与実態調査結果等』