憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する「生活保護」。厚生労働省『被保護者調査』から、生活保護者の実態を紐解いていきます。
月収5万5,000円では…「貯蓄0円」「生活保護月7万円」東京都在住・60歳男性、絶望的な老後しか見通せず「この先も人生、どん底」

生活保護者の実態…平均年齢「60.5歳」、平均生活保護費「8万1,206円」

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』で、生活保護者の実像をみていきましょう。2022年(7月1日時点)の生活保護世帯は161万9,452世帯。そのうち単身世帯が135万4,614世帯。2人世帯が19万6,511世帯、3人世帯が4万3,225世帯、4人以上世帯が2万5,102世帯となっています。

 

生活保護世帯を地域別にみると、生活保護世帯数が最も多いのは「東京都」で22万0,841世帯。「埼玉県」4万5,724世帯「北海道」4万5,691世帯「千葉県」4万2,827世帯「大阪府」4万0,032世帯と続きます。また世帯数における生活保護世帯の割合でみていくと、最も割合が高いのが「徳島県」で33万7,343世帯に対し、生活保護世帯は1万0,148世帯。生活保護世帯率、3.01%となっています(関連記事:『【ランキング】都道府県「高齢者・生活保護者率」ワースト1~47位…<令和4年度被保護者調査>より』

 

生活保護世帯を年齢別にみていくと、20代以下が2.2%、30代が4.5%、40代が9.3%、60代が19.3%、70代が28.6%、80代以上が20.4%。生活保護受給者の「平均年齢は60.5歳」です。また生活保護の生活費にあたる扶助額は「平均8万1,206円」です。

 

たとえば、東京都23区で1人暮らしをする60歳の男性をイメージしてみましょう。東京都23区の生活扶助基準額は7万6,880円、住宅扶助基準額は5万3,700円。これが賃貸暮らしの場合の最低生活費となります。またひとり世帯の扶助額は平均7万5,069円となります。つまり月5万5,511円しか収入がなく、その差額となる7.5万円ほどを保護費で賄っている……これが生活保護者の平均像です。

 

生活保護が認められるということは、基本的に最低生活費を上回る貯蓄もない、貯蓄ほぼゼロということ。この先、浮上するきっかけはあるのでしょうか。65歳からもらえる年金。国民年金が満額受給であれば月6.8万円。会社員や公務員であったなら、そこに厚生年金がプラスされます。しかし、現状5.5万円ほどの収入という現状から察するに、年金の満額受給は見込めず、厚生年金も……年金受給が浮上のきっかけになる可能性は非常に低いといえるでしょう。

 

では給与を得て、生活保護費以上のお金を得るのはどうでしょう。現状5.5万円の収入。十分に働くことはできない、何かしらの理由があるでしょう。働いて浮上するという手も、難しそうです。

 

生活保護を受けながらの最低限度の生活。そこから脱するのも、どう考えても無理筋。

 

――この先も人生、どん底のまま…

 

そんな悲壮感にあふれる声が聞こえてきそうです。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』