レミさんの息子たち夫婦との距離感の築き方は?

 ――ベロの絆のお話や日頃、レミさんが家族について話すのを見たり聞いたりして、いい関係を築いていていいなあと思う読者も多いと思います。レミさん世代の読者も多いのですが、息子たち夫婦との距離感のコツみたいなのってありますか?

レミ:うーん……。「距離感を取っている」って考えてることがそもそもおかしいでしょ? 私はそんなこと考えもしない。「息子たち夫婦との距離感とは?」なんて考えていたらくたびれちゃう。これからずっと一緒にいるんだしさ、でも私は私の人生で、彼らは彼らの人生だしね。会わないときはまったく会わないけれど、会うときは普通にご飯を食べるし、お酒も飲んで楽しくやっちゃうし。もう自由自在。うん、何も考えていないなぁ。

 ――レミさんのお話を伺っていて、「距離感を取る」とか考え過ぎなのかもしれないなと思ってきました。

レミ:そんなことしたらくたびれちゃう。うちの息子を育てていたときも距離感なんて考えなかったし、それで他人のあーちゃんや樹里ちゃんが来たからって距離感考える? 考えないでしょ。このまんまでいいんじゃない? え? ほかの人は悩んでいるの?

――「多様性と言われて家族の形もいろいろだし、自分たちの世代とは家族のあり方や関係の築き方も変わっているんだろうけれど、だからこそどんなふうに付き合っていけばいいのか分からない」という声も聞きますね。

レミ:「どんなふうに付き合っていけばいいか?」って、そもそもそこからして変なのって思っちゃうな。そのまんまでいいじゃん。嫌われたら嫌われたでしょうがないし(笑)。

――本当にそうですね、なんだかスッキリしました。

レミ:はっはっは(笑)。全然、なーんにも考えることなーい! 自由でいいのよ。お料理もそうだし、ぜーんぶ自由にね。

だって時代もすごく変わっているじゃない? 「こうしちゃいけない」「ああしちゃいけない」なんてことなんにもなーい。個人が幸せを感じればそれでいいと思うんだね、私はね。何にも囚われることなんてないのよ。

撮影・邑口京一郎
撮影・邑口京一郎

「自分らしく楽しくやっていればみんなついてくる」

 ――レミさんは昔から自分らしく生きてきた印象があって、時代が追いついてきた感じさえします。

レミ:おっ! いいこと言いますね~!(笑) だってさ、NHKの『きょうの料理』で初めて出演した時にトマトをぐしゅって握りつぶしたら、クレームがたくさんきたみたいなんだけれど、そのあと新聞で好意的に取り上げてくれたおかげでずっと出ることになったの。だからね、自分らしく楽しくやっていればなんとかなるものよね。 

――NHKに怒られて落ち込むとかはなかったですか?

レミ:落ち込まない落ち込まない! だって私は私の生き方で、みんなに揃えることないじゃん。私は私だし。

――そうですよね。本当に。 

レミ:そうよ。ダメだったらダメでいいし、私は自由にさ、料理でもおいしいなって思って作っているのが幸せなの。

「いちにのさん、ほい!」でできる料理が大好き

――『平野レミの自炊ごはん せっかちなわたしが毎日作っている72品』は、意外にもレミさん初の自炊本だそうですね。

レミ:そうなの。ほら、(夫の)和田(誠)さんが死んじゃったじゃない? そうしたら、うちの次男が「今はお母さんみたいに配偶者やパートナーを亡くしたり、別れて一人になった人もたくさんいるから、そういう人向けのレシピ本を作ったらいいんじゃない?」って言ったの。

それで、味を望む人と書いた「味望人」という名前でやったらどうかなと思って、「味望人レシピ」というのを考えていたタイミングで、出版社の人からお声がけいただいたの。 

もちろん、私のように一人暮らしの同世代の人にも向けられるし、社会人になっていく若い人たちにも向けられるし、ひとりで暮らしている独身の方にも向けられるし……。何より安く手早く簡単なお料理が一番いいなと思って作りました。私もそういうお料理が大好きだから。私も、すぐできる、パパっと「いちにのさん、ほい!」でできる料理が大好きだから。それで、なるべく簡単ですぐに作れる料理を載せました。

――最後に、この記事を読んでいる人へのメッセージをお願いします。

レミ:とにかく楽しんで自炊してみてっていうのもそうなんだけれど、友達や親しい人と一緒に食べるのも大事かなって。だから、ひとりご飯をちょっと余分に作って、みんなで持ち寄って誰かと一緒に食べるのもオススメよ!