1984年にデビューし、1999年より活動を休止していた「爆風スランプ」がデビュー40周年を迎えた今年、再集結。8月に26年ぶりとなる新曲「IKIGAI」を配信し、10月には初のメンバーセレクトによるベスト盤を発売。ボーカルのサンプラザ中野くんとギターのパッパラー河合さんに「生きがい」についてお話を伺いました。
40周年は「爆風を吹かせたい」
――10月にはベストアルバムのリリースと名古屋・兵庫・東京を回る3カ所4公演のツアーもスタートします。デビュー40周年の節目となる今年に再集結ということで経緯をお聞かせください。
サンプラザ中野くん(以下、中野くん):再集結は2年ほど前、コロナ禍が終わる直前くらいに、40周年は爆風スランプを動かしたいとマネージャーに伝えまして、そこから話が進んできてこういう形になりました。コロナになって歌う機会も減ってしまって一番痛感したのが「やりたいときにやりたいことをできない」ということ。そしてコロナ禍も収束してきたので「できるかもしれない。できるときには爆風を吹かせよう」ということで再集結です。
パッパラー河合さん(以下、河合):僕は中野がマネージャーとやりたいと話しているのを横で聞いていました。それで早速、(ファンキー)末吉さんと(バーベQ)和佐田さんに連絡したら二つ返事で「やるよ」ということで……。2人もやりたかったんでしょうね。
――再集結してみていかがでしたか?
河合:やっぱり不思議ですよね。家族みたいなものだから。
中野くん:再集結して実際に会ったのは今年の3月で、初めて演奏したのは「THE FIRST TAKE」(「一発撮りで、音楽と向き合う。」をコンセプトにしたYouTubeチャンネル)。リハもなくあの瞬間だけ演奏したんですが、すごく興奮しましたね。音に乗せられて歌う感じが楽しかった。
海外でも広まっている「IKIGAI」
――メンバー全員60代を迎えたそうですね。新曲を「IKIGAI」としたのは?
中野くん:「IKIGAI」という言葉は去年の今ごろ私が拾ったテーマです。私、健康マニアで健康情報を漁るのが好きなんですけれど、Netflixの『100まで生きる: ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』というドキュメンタリー番組を見ていたら、健康で長生きの人々が暮らす地域のブルーゾーンの一つに沖縄が紹介されていたんです。
そこに登場していた人たちがコミュニティの中で自分ができる仕事をして「すごく楽しい。リタイアする気はない。これが私の生きがいですから」と話しているのがすごく印象的でした。そして調べていったら、「生きがい」という言葉は英語にないみたいで、そのまま「IKIGAI」という言葉として欧米で広まっていることを知って、「IKIGAI」にしました。
私も「生きがい」という言葉を久々に聞きました。昔というか昭和の人たちは「生きがい」を考えていた気がするんです。でも、バブル崩壊以降は「勝ち組・負け組」とか「どうやったら儲かるか?」「どうしたら逃げ切れるか?」みたいな話題が多くなって「老後2,000万円問題」とか言われ出した。結局いかにしてお金が稼げる仕事をしていくかということが目的になっちゃっている。そんなことを今の日本にぶつけたいなと思って作詞しました。
――10月27日には衆院選もありますね。「政治が好きなんです」「より良い人生を歩むために生活と政治は分けない」という歌詞も登場します。歌詞に込めた思いは?
中野くん:いよいよ政治がメインになりそうなんじゃないかという予感があったんです。SNSも発達して、みんなの意見や政治家が何をやっているかがあらわになってきた。今までは政治が生活と分離されてわからないところでやられてきたけれど、最近いろいろなことが明るみに出てきたので、もう一押ししてみようかなと思いました。
――河合さんは中野さんが作られた歌詞についてどう思いましたか?
河合:中野っぽいなと思いました。俺から言うと、すごく新しいとかではなくて、中野っぽいなという感じ。「(IKIGAI)何なんですか? あなたの?」と言われると、「俺の生きがいって何だろう?」と思っちゃうんですよ。日々の暮らしに追われてなかなか考えられないけれど、聞くと考えざるを得ないですよね。