SNS、テキストメディア、動画投稿サイトなどを通じて、ネット上では様々な人が投資について自分の意見を述べています。こうした人たちのなかから「話を聞くに値する人」を見極めるには、どうすればよいのでしょうか? そこで本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、話を聞くに値する人を見極める判断材料として3つの特徴を挙げ、それぞれどのような部分に注目すべきかについて詳しく解説します。
その投資情報、本当に参考にする価値ある?…「話を聞くに値する投資家」に共通する“3つの特徴”【株式投資のプロが助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

[話を聞くに値する人]その3:資産増加額でなく運用利率が高い

そして、運用成績を公開している人のなかでも、資産増加額でなく運用利率が高い人ほど、話を聞く価値が高いといえます。資産増加額というのは、運用した資産がいくら増えたか、という数え方です。一方の運用利率は、元手に対して何%増加したか、という数え方です。そして前者は、あまり当てにならない話なのです。

 

資産増加額の話としてたとえば、「この人は、100万円を20年で1億円にした」などという話があり、その投資方法が注目されることもありますが、あまり当てにはなりません。というのも、その間に「増資」をしたのか否か、したならばいくらしたのか、が非常に重要な点なのですが、この場合それが明らかになっていないからです。

 

元手100万円を、増資なしで20年間で1億円にしたならば、毎年26%近い運用成績を上げたということになり、大変すごいことです。ところがこの人が、20年間、毎年100万円ずつ増資をしていたとしたらどうでしょうか。すると、20年目が終わる時点で、元手は2,100万円だったことになります。そうすると、実際に投資で増やした割合というのは、ずいぶん目減りします。

 

このように、単に運用した資産がいくら増えたか、というのは投資家を評価する基準にはならないといえるのです。

 

一方、「年平均何%の運用を何年続けている」と運用利率がしっかり公開されている人こそ、話を聞く価値のある投資家といえるでしょう。その人がいくら儲けたか、最終的にいくらの資産を築いたかは一見わかりませんが、毎年の運用利率を掛け算していけば、元手を何倍にしたかはちゃんとわかります。

 

増資の有無や金額に関係なく、純粋に投資によってどの程度の利率で資産を増やしていったかが明白ですので、投資家の真の成績がそこに表れているといってよいのではないでしょうか。

優れた投資家を見抜き、その話を聞こう

話を聞くに値する投資家は、「投資経験が長い」「運用成績を公開している」「資産増加額でなく運用利率が高い」という3つの条件を満たしているといえそうです。

 

誰かの投資手法を参考にするならば、優れた投資家を見抜き、その話を聞きたいものです。逆に、注目を集めているだけで優秀さが明らかになっていない人の話は、聞いても意味がないかもしれません。

 

 

川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO