副業解禁と騒がれてから5年あまり。実際に本業とは別に収入を得ているケースも珍しくなくなってきました。副業収入があると、確定申告をしなければならないケースも多いですが、故意にしろ故意じゃないにしろ「申告漏れ」も。特に悪質と判断されると重いペナルティが課せられます。みていきましょう。
悔やんでます…現金手渡しの副業所得100万円を隠ぺい「月収30万円」のサラリーマンに課せられる「重すぎるペナルティ」

現金手渡しでも、バレる…所得隠しに課せられる「重いペナルティ」

会社員などの給与所得者は、通常、勤務先で行う年末調整で所得税の納税は完了、確定申告の必要がありません。しかし会社員で副業を行い、所得が20万円を超えたら、確定申告をしなければなりません。毎月、副業による収入が15万円以上になる男性。当然、確定申告をしなければならない可能性が高いでしょう。

 

しかし給与が手渡しであれば、「副業禁止の会社だけど、給与手渡しなら、会社にばれない」とか、今回の男性のように「給与手渡しなら、確定申告しなくてもバレない」という噂を耳にすることも。もちろん、収入である以上、きちんと申告するべきですし、確定申告しなくてもバレる可能性が高いでしょう。

 

なぜ給与が手渡しでも、バレてしまうのでしょうか。その理由は大きく「税務調査」「支払い調書」「マイナンバー」の3つ。そして邪な考えが明るみになった際には、重いペナルティが課せられます。

 

ペナルティの内容は、まず無申告に対してのペナルティとして「無申告加算税」と、納期が遅れたことに対しての「延滞税」。もし悪質と判断されると、「無申告加算税」の代わりに「重加算税」が課せられます。さらに脱税による刑事罰として罰金刑や懲役刑が課せられます。

 

無申告加算税は、未納税額に対して一定の割合で発生するもので、税額や納税のタイミングなどにより、10.0~40.0%の税率が適用されます。また5年間の間に無申告で加算税を課された経験がある等の場合、ペナルティはさらに10%重くなります。さらに重加算税の場合は、決まった時点でペナルティは40%。さらに「過去5年間で無申告を指摘された人、前年・前々年の無申告も発覚した人」であれば50%になります。

 

延滞税は、納付期限から日数が経つほど増えていき、その割合は法定納期限の翌日から2ヵ月までであれば、年「特例基準割合+1%」(上限7.3%)、2ヵ月を経過する日の翌日以降は、年「特例基準割合+7.3%」(上限14.6%)となります。

 

仮に30代の男性が年収400万円で、100万円の副業所得があったとしたら、上乗せされる所得税は年間18万7,000円。この副業所得に対し申告漏れが指摘されると最大50%の加算税に加え、タイミングによって延滞税がプラス。さらに刑事罰の可能性も……。

 

2022年には副業でフリマサイトでの転売を行っていた会社員が、7年間で得た1億0,400万円を隠していたとして、2,100万円もの追徴課税がされました。ここまで大きな収入はないにしろ、「これくらいならバレないだろう」といった少額の収入であっても、申告漏れを指摘される可能性は十分にあると専門家。

 

重いペナルティがあるうえ、さらに刑事罰に問われることもある所得隠し。重いペナルティが課せられてから「悔やんでます」といったところで後の祭り。浅はかな考えは捨て、正直に申告するのが身のためです。

 

[参考資料]

厚生労働省『2022年度 就業構造基本調査』

国税庁『加算税の概要』

国税庁『延滞税の割合』