幸せな家族に訪れる「夫が急逝」という突然の悲劇……残された遺族に対する公的な死亡保障としては「遺族年金」があります。しかし多くが共働きという時代にはそぐわないという指摘も。みていきましょう。
不公平よ!夫急逝の悲劇に直面する「40代・子育て中のキャリア妻」…遺族年金「ゼロ円」の不条理に、涙

万が一のことが起きたら…「遺族年金だけでは不十分」は6割

当たり前の日常。誰もがずっと続いていくものだと考えているでしょう。しかし、人生、何が起きるか分かりません。

 

厚生労働省『令和4年 簡易生命表』によると、働き盛り、40歳の生存率は男性で98.40%、女性で98.95%。60歳の定年を迎えることになると、男性で93.20%、女性で96.04%。日常が続いていくことのほうが圧倒的多数なわけですから、万が一のことを想像できなくても当然かもしれません。

 

しかしたとえ確率的に低くても、万が一のことにはきちんと備えておきたいもの。生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』によると、万が一のことが起きた際に、「遺族年金など公的な死亡保障で賄える」と思っている人は25.9%*1。それに対して「賄えると思わない」は64.6%*2と、公的保障だけでは足りないと危機感を持っている人が圧倒的に多いことが分かります。

 

*1:まったくそう思うと、まあそう思うの合計

*2:あまりそう思わない、まったくそう思わないの合計

 

公的保障だけでは足りないという不安に対して私的な準備をしているかの質問に対しては、73.1%が「準備をしている」、24.3%が「準備をしていない」。準備をしている人が圧倒的多数ではあるものの、不安を覚えつつも4人に1人は準備すらしていないというのが実情です。

 

遺族年金は国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があります。大雑把にいうと、遺族基礎年金は子育て中の世帯への保障、遺族厚生年金は会社員、または会社員だった世帯への保障。ただし、受給においては色々な要件があるので、きちんと確認する必要があります。

 

実際にどれほどの保障額になるかというと、遺族基礎年金は年間「795,000円+子の加算額」。遺族厚生年金は「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」です。さらに要件に当てはまれば「中高齢寡婦加算」などが加算されます。