脂肪肝の改善には、食生活を整えることが重要です。脂肪肝と診断された由美さん(仮名)との会話を通して食習慣を見直しながら、減量中に気になる水分補給と糖質依存について見ていきましょう。尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)より、実際のエピソードとともに効果的な減量法について解説します。
糖質を減らしたことで“依存”が軽減
「そのほかに気づいた体の変化などはありますか?」
「家に甘いものを置かないようにしていたのですが、来客があったときにプリンをいただいて。消費期限も短くだれかにあげることもできなかったので、娘と半分ずつにして食べたんです。前にも食べたことがあるものだったのですが、何だか口にまとわりつくような不快な甘さを感じて……。3口食べて、これはもうやめようと自制の念が働きました」
「それは糖質依存がなくなってきているよい兆候ですね」
「甘いものを食べてしまったことについては、すごく後悔しています」
「食べてしまった→体重が増える・減らない→自己嫌悪→自分はだめだ→もういいや、となっていませんか? 一度のダメージで肝臓はやられません。何度だってやり直せます。由美さんの体は、本来あるべき姿に近づこうとしていますよ」
「体型も体重も変化がないので不安ばかりでしたが、体は変わっているんですね」
「1日1日、体はよい方向に変わっています。ほかのだれと比べることもありません。比べるのは、昨日の自分です。では、最後の1カ月。由美さんの目標体重は?」
体重が減らずに鬱々とした時間を過ごしてきたが、体はちゃんと変わってくれているのかもしれない。残り1カ月、イチかバチかやってみよう。
「スタートから3カ月で5㎏減。61㎏になります」
「大丈夫。がんばりましょう。次回は何日にお目にかかりましょうか」
「7月26日はいかがでしょう」
「では、11時にお待ちしています」
<先生からの処方箋>
食べてしまった後はスパッと忘れて、明日も体重計に乗ろう!
尾形哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医