いつまでも若く、長生きしたいと思う人も多いのではないでしょうか。実年齢や肌年齢など数字を鑑みるよりも、「若いと信じる」ことが健康や寿命によい影響を与える、と心理学者の内藤誼人氏はいいます。内藤氏の著書『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)より、自己暗示や周りから「若い」といわれることで、実際に長生きしたり、筋力がアップした例を見ていきましょう。
「若い」と信じると長生きできる
「日本の資本主義の父」と称されている渋沢栄一さんの言葉に、「40歳、50歳は、はなたれ小僧」というものがあります。私の好きな言葉でもあります。
政財界では70歳以上の人が現役でごろごろしていますので、40歳や50歳では若すぎるのです。何歳になっても、「私はまだまだ、はなたれ小僧」と思っていたほうがいいですね。そうすれば、気持ちも若くいられますから。
若いと思っていると、長生きもできます。
フィンランドにあるユヴァスキュラ大学のヴァーピ・ウオティネンは、65〜84歳の395名の男性と、770名の女性を13年後まで追跡調査したことがあります。
ウオティネンは、実年齢に比べて、「若いと感じるグループ」「実年齢と同じくらいだと感じるグループ」「実年齢よりも老けていると感じるグループ」の3つにわけ、年間当たりの死亡人数を調べてみました【図表1】。
まず男性に関しての結果をお話ししましょう。
男性の年間の平均死亡人数は、「年齢よりも老けている」と感じるグループでは99名、「実年齢と同じくらい」と感じるグループでは65名、「実年齢よりも若い」と感じるグループでは59名という結果になりました。
次に女性に関しての結果は、「実年齢よりも老けている」と答えたグループでは、年間死亡人数は81名、「実年齢と同じくらい」と感じるグループでは54名、「実年齢よりも若い」と感じるグループでは36名という結果になりました。
男女とも、若いと思っているグループのほうが長生きするということがわかります。老けていると感じるグループより、若いと感じるグループのほうが、年間の死亡人数が半分くらいになるのです。
くり返しになりますが、大事ですので何度もお伝えします。
「実年齢を気にする必要はありません。そんなのはどうでもいいのです」
大切なのは、あくまでも主観的な精神年齢です。
何歳になろうが、私はまだまだ「はなたれ小僧」だと思っていたほうがいいですよ。そのほうが身体の調子もよくなりますし、結果として長生きもできますから。