いつまでも若く、長生きしたいと思う人も多いのではないでしょうか。実年齢や肌年齢など数字を鑑みるよりも、「若いと信じる」ことが健康や寿命によい影響を与える、と心理学者の内藤誼人氏はいいます。内藤氏の著書『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)より、自己暗示や周りから「若い」といわれることで、実際に長生きしたり、筋力がアップした例を見ていきましょう。
「若い」と思うと筋力もアップ
テレビを観ていると、ゲストタレントの肌年齢や脳年齢、内臓の老化具合などを検証する番組が放送されることがあります。
20代に見える若いタレントが、「あなたの肌年齢はもう40歳ですよ」と言われて、悲鳴を上げている姿を見るとかわいそうになってしまいますが、悪い結果についてはできるだけ知らないほうがよいでしょう。
「実年齢よりも老けている」ということに気づかされると、気分がしょんぼりしてしまいますから。
ウソでもいいので、「私は実際よりも若い」と信じるようにしてください。
だれでもいいので、実年齢よりも若いという診断結果だけを教えてくれるアプリを作ってくれないものでしょうか。
「若い」と思うと、筋力もアップします。
面白い研究を1つご紹介しましょう。
フランスにあるグルノーブル・アルプ大学のヤニック・ステファンは、平均74・43歳の49名に、ハンドグリップで握力を測定してもらいました。
それからグループを半分にわけ、半分の人には、「あなたの握力は、同じ年齢の人よりもずっと上ですよ、まだまだ若いですね」とインチキな結果を教え、残りの半分の人には何も伝えませんでした。
それからもう一度2回目の握力を測定すると、上のような結果になったそうです【図表2】。
「年の割にずっと若い」と告げられると、2回目の測定では筋力がアップしていることがわかりますね。通常のケースですと、2回目の測定のほうが、1回目の疲労もありますし、握力の数値は下がるものなのですが、むしろ1回目よりもアップしています。
本人が若いと思っていれば、筋力も落ちません。
筋力が落ちてしまうのは、「私もいい歳のおじさんだから」とか「私はもう初老だから」と思い込んでしまっているからです。
人間は自分で若いと思っていれば、身体もある程度若いままでいられるのです。
内藤誼人
心理学者