発達障害のある子どもなどが、通常の学級に在籍しながら一部は別室で指導を受ける「通級指導」。令和3年度に国が行った調査では、18万人以上の児童が通級指導を受けているといいます。改めて「通級」とはどのような指導なのか、みていきましょう。

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通級による指導とは?

「通級による指導」とは、各教科の授業は通常の学級でおこないつつ、障害や困難に応じた特別な指導を「通級指導教室」でおこなう特別支援教育の一つです。通級指導教室では、子どもの自立を目指し、障害による困難を改善・克服するため、一人ひとりの状況に応じた指導をおこないます。

 

対象となるは、通常の学級での学習や生活におおむね参加できるが、一部特別な指導を必要とする、発達障害、学習障害、あるいはその他の特別な支援が必要な子どもたちです。障害の程度が比較的軽度で、在籍クラスが通常学級であるところが、特別支援学級との大きな違いです。

 

通っている子どもは通常学級に籍を置いているため、学校生活のほとんどは通常学級にいて、週に何時間かだけ通級指導教室へ通います。実際に通級による指導の対象とするかどうかは、対象となる子どもの行動観察をしたり、必要な情報を収集したりして、実態を把握することから始め、その必要性について校内委員会で検討されます。

 

小中学校時代は、子どもたちの将来に大きな影響を及ぼす時期です。学習はもちろん、自尊心を育み、自分自身の能力に自信を持てるようにすることも重要だと考えます。通級による指導が適切におこなわれることは、学習に困難を抱える子どもが自分のペースで学びながら、自信を持ち、社会性を培うことにつながります。

 

また、子どもが自分自身の強みと弱みを理解し、それらを受け入れながら成長する場ともなるでしょう。さらに、広く学校全体のコミュニティを強化する役割も期待されています。

 

通級による指導を通じて、子どもたちは相互理解と協力の精神を育むことができるためです。通常学級の生徒にとっても、多様な背景を持つ同級生と共に学ぶことで、個性を認めることや助け合うことを経験し、より包括的な価値観をかたちづくる一因となるはずです。

 

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通級指導教室の特徴

次に、通級指導教室の特徴について紹介します。

 

①個別化されたプログラム

一人ひとりのニーズに応じて、個別化された教育プログラムが提供されます。一律に指導方針を固定せず、その子に合わせた対応をしてもらえるところが通級指導教室の良さでもあります。

 

②少人数制

1対1か4~5人の少人数で授業をするのが基本のため、一人ひとりに対する質の高いサポートが可能となります。

 

③専門的な教師

通級指導教室を担当する先生は、教員免許を持っていればなれますが、特別支援教育に精通している必要があります。通級指導教室では、子どもの自立を目指し、障害や特性による困難を改善・克服するための指導をおこないます。重要なことは、通級指導教室は、勉強の遅れを補習するための場ではなく、子どもの自立を促すことが目的ということです。

 

つまり、周囲や子ども自身が、自分の特性を理解し、得意な部分を活かして苦手なことを補うための具体的な方法を学んでいく場なのです。そのため、障害があっても、適切な対処方法を子ども自身や周囲が理解していて、学校生活に困難を感じていなければ、通級指導教室に通う必要はありません。

 

逆に、学力は問題なかったとしても、感覚過敏などによって通常学級でストレスを抱えている場合は、通級指導教室を活用することで、学校生活の困難さが和らぐケースもあります。

 

通級指導教室に通う子どもは、他の子と同じように取り組んでも、うまくいかなかった経験をしています。「自分はがんばってもできない」と感じるなど、自分のことを肯定的に受け止めにくい状態にある子もいます。通級指導教室が、そのような思いを持った子どもにとって、安心できる時間や場所となり、子どもの自信や意欲につながることが大切です。

 

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本連載は、株式会社コペルが運営するホームページ内のコラム(https://copelplus.copel.co.jp/column/)を転載・再編集したものです。