「2,500万円」の貯蓄が消えていく…年金月22万円の65歳の老夫婦まさかの「老後破綻」!?

登場人物
・ゆめこさん(以下、ゆ)……大正時代からタイムスリップしてきた26歳女性。なぜか、現代社会にめちゃくちゃ詳しい。

・ワイ(以下、ワ)……ゆめこさんの白い飼い犬。お菓子好き。ミーハー。

・トキタサブロウ(以下、主)……主人公。1964年生まれ、59歳(2023年10月8日動画配信日時点)、中堅工業会社の部長。既婚。
・タナカ(以下、タ)……サブロウの部下。25歳独身で、1人暮らしをしている。

主:俺の名前はトキタ サブロウ。中堅の工業会社で部長をしている59歳、もうすぐ定年を迎える。俺の座右の銘は「貧乏暇なし」。なんでかって? 俺は子どもの頃、すごい貧乏だったんだ。

俺は地方の農家に生まれた。人口が毎年減少する寂れた農村で、村全体が貧しかったんだ。なかでも父親が病気だったうちは、特別に貧しかった。服も文房具もおもちゃも、全部近所の子のお下がり。靴なんて底が剥がれてぺこぺこになってるのに、新しいものを買ってもらえなかったよ。

一番きつかったのは、水筒を買ってもらえなかったことかな。遠足には必ず水筒を持ってくるよう学校から言われてたんだが、俺は酒屋に譲ってもらったジュースの空き瓶に水を入れて持っていった。

重いし、フタがないからずっと手にもってなきゃいけないしで、同級生にはさんざんバカにされたよ。挙句の果てにジュースを持ってきてると誤解されて、みんなの前で先生には怒られる始末。

ワ:先生もクラスメイトもひどいね……。

ゆ:尊厳のえぐり方が鋭角ですね。

主:「ちくしょう、金さえあれば、こんなみじめな思いしなくてすむのに……」何度思ったか分からない。だがその悔しさが俺の原点になった。

俺の高校時代はバブル期前夜で、日本全体が独特の活気とエネルギーに満ちていた。「いい大学に入ればいい会社に入っていい暮らしができる!」そう信じて、苦手な勉強を頑張った。

おかげで公立大学にストレートで合格。業績が安定している、地元では誰もが知る中堅工業会社に就職できたんだ。

ワ:努力が報われたんだね!

主:社会人になった時はまさにバブルの真っただ中でね、働けば働くだけ、頑張れば頑張るだけ成果が出た。「24H(エイチ)戦えますか?」なんてテレビCMのキャッチコピーが流行ってたけど、俺にはまさにあんな気概があった。あのCMで自分を奮い立たせて、毎日終電帰宅でくたくたになるまで働いたよ。

ゆ:サブロウさんのように、バブル期のサラリーマンは猛烈に働く人も少なくありませんでした。

主:俺と同じように本気で「上に行きたい」と思うヤツは、同僚に何人もいたからな。俺は絶対に負けたくなくて、仕食らいついてきたんだ。その意欲を買われてね、同期の中でも出世頭だったんだ。

まあみんなそれなりに頑張っていたが、俺には及ばなかったんだな。

ワ:にゃは、有頂天!

ゆ:鼻につくその態度を改めれば、もっと上に行けたでしょう。

主:そんな俺も来年には定年だ。世間じゃ老後2,000万円問題なんて少し前に騒がれてたが、若い頃がむしゃらに働いて、しっかり評価もされてきた俺には正直、無縁無縁。関係のない話だな。