老後2,000万円問題が、約5年前の2019年に話題になりました。その影響から「2,000万円あれば老後は安泰!」と思っていませんか? 各々の平均値の単純計算によって導かれた老後資金2,000万円を鵜呑みにするのは危険です。なぜなら収入、年金、貯蓄、生活費……すべてが平均値の人などいないからです。「自分だけは大丈夫!」と高を括っていると「まさか自分が!?」と落とし穴に落ちることも。今回はそんなお話です。
「お金がみるみる溶けていく…」貯金2,500万円、59歳・中堅企業の部長「24時間戦えますよ」精神でコツコツ貯金も、定年目前に「老後破産」危機のワケ
余裕しゃくしゃくのサブロウさんに襲いかかる、突然の悲劇!
ワ:ゆめこさん。何で老後に2,000万円貯金が必要って言われてるの?
ゆ:これは金融庁が2019年に公表した報告書の内容がもとになっています。高齢夫婦が年金だけで暮らすと月に5万円ほどの赤字が出てしまうので、定年後30年間暮らすと仮定した場合、年金以外に約2,000万円を自分たちで用意する必要があるという試算です。
多くの人が2,000万円という大金にドキッとしましたが、サブロウさんはなんの心配ないということでしょうか?
主:もちろんだ! 俺は順調に社内でキャリアを積んで現在は部長。家のローンは払い終わっていて、貯金だって2,500万円もある。女房と2人で暮らしていくだけなら十分だろ?
老後の生活費に困るなんて、俺に限ってそんなの絶対に有り得ないな!
ワ:さすが部長!余裕があるみたいだね。
ゆ:サブロウさん、十分な貯金があったとしても老後破産に陥るケースはあります。
主&ワ:えーーーー! なんで!?
ゆ:貯蓄を2,000万円以上保有している高齢者というのは、実は日本では平均的だったりします。
政府調査によると、65歳以上・無職の高齢者夫婦世帯では、貯蓄の平均は約2,509万円、負債は約29万円。つまり平均で約2,500万円の貯金があるのが、一般的な高齢者世帯ということになります。
ワ:そうなの? じゃあ老後破産をするリスクが高いシニア世帯って、実際はあんまりないのかな?
ゆ:果たして、本当にそうでしょうか?
主:な、なんだ……? 急に右手が動かなくなった……うう!
俺は救急車に運ばれて病院につれていかれ、自分が脳梗塞だと診断された。幸い、後遺症は残らなかったものの、今までの生活習慣が原因だろうと医者から言われてしまった。
俺はあぶらっぽい食事が大好きでな。いい年こいて揚げ物ばっかり食べていたのがまずかったようだ。食事は仕事ばかりしてきた俺にとって数少ない娯楽だったのにな。今の生活を続けると歩けなくなったり、寝たきりになるリスクがあると医者に言われてしまった……はぁ~、こうなった以上我慢するしかないな。