医療費、介護費で「お金がみるみる溶けていくぞ……」

はぁ……、治療費がこんなにかかるなんて思ってもみなかったよ。再発の恐れもあるし、そのときは要介護認定を受けるかもしれない。そうなったら介護費でお金がみるみる溶けていくぞ・

俺は無事に職場へ復帰することはできたものの、食事制限のストレスもあって最近はつい若手社員に厳しい態度を取ってしまっている気がする。こんなことで本当にいいんだろうか……。

いや、俺は悪くないぞ! 仕事で成果をあげつづけてきたこの俺が、断じて悪いはずがない! だいたい、最近の若い連中は何かにつけて楽をしようとしてるから、仕事もこんなにいい加減になるんだ! 

主:おい、タナカ! この書類、またミスしてたぞ! おまえ、社会人になって何年目だ!

タ:す、すみません、トキタ部長……。

主:まったく、いい大学を出ててもこんな簡単なミスしてるんじゃいつまでたっても出世しないぞ!

ゆ:当然、こんな態度は職場で好まれるがはずがありません。

ワ:イライラしている人が側にいると、緊張しちゃって余計にミスしちゃいそうだよね。サブロウさん、このままでいいの?

主:……うーん、ローンも払い終わってるし、この家に住み続けるつもりでいるんだが……。段差も多いし、高齢者が住むには大変そうな気もするな。妻だっていつまでも元気なわけじゃないし、お互いのためにバリアフリーにリフォームした方がいいんじゃないか?

でも、リフォームをするとなると、まとまった金が出ていく。うちの会社は退職金が出ないし………。参ったな、今の貯金じゃ全然足りないじゃないか。はぁ……息抜きに散歩にでもいくか。

散歩に出たはいいが、どうしてもカツ丼屋や唐揚げ店に目が行ってしまう。はあ、揚げ物食べたい……。揚げ物食べたい……。あげも……

タ:トキタ部長、お疲れ様です!

主:ああ、タナカか……お前もお昼だったんだな。うん? それ、介護の本か?

タ:ええ、実は実家の母が昨年膝を悪くしてしまって……。今は家の近い姉が介護をしてくれてるんですが、休みの日には僕も手伝いにいってるんですよ。

主:へえ、そうだったのか……。

タ:それで、最近ちょっと寝不足で。ふはぁ(あくび)

主:そ、そうだったのか? なのに怒鳴ったりして悪かったな……。

タ:いえ、ぼんやりしてた僕が悪いんです。それに母の介護だって、これからはもっと大変になりますし、しっかり働いてお金を稼がないと。

主:……お前、家族思いなんだなぁ!