カジュアル面談やリファラル採用…採用ミスマッチを回避する方法は?
採用ミスマッチを解消するには、前述の通り、求める人物像や採用基準を明確にし、同時に自社の情報を正しく伝えることが大切です。自社についてネガティブな一面も包み隠さず伝えることにより、企業と求職者のギャップを埋められるでしょう。
これらを両立させるには、求職者とより深いコミュニケーションを取るカジュアル面談や、入社前に現場社員と交流する機会を設けるなどの対策が考えられます。ほかにも、採用ミスマッチを解消するための対策として、以下のものが挙げられます。
・インターンの活用
・リファラル採用やダイレクトリクルーティングの導入
・採用ブランディングの実施
上記は、求職者とコミュニケーションを取る機会を増やしたり、採用ターゲットを絞り込んだりすることにより、求職者の「内面的な情報」を得る施策です。内面的な情報を理解し、求める人物像にマッチした人材なのかを見極めることにより、採用ミスマッチの回避につながります。
解決策の1つとして注目の「ジョブ型雇用」
このほか、業務内容や職務を明確にした「ジョブ型」の雇用形態を導入することも有効かもしれません。
そもそもジョブ型雇用とは、業務内容や職務範囲を明確に定義して人材を雇用する雇用形態のこと。業務内容や労働条件、待遇などが記載されたジョブディスクリプション(職務定義書)の合意により雇用契約を締結します。
ジョブディスクリプションに記載された業務だけに従事するという合理性の高さから、欧米では主流になっている雇用形態です。グローバル化が進展した近年では、日立製作所や富士通などの大手企業もジョブ型雇用を導入しており、国内でも注目が集まっています。
ジョブ型雇用は業務内容や労働条件が決まっているため、業務内容の変更や異動、転勤はなく、成果や実績によって昇進・昇給します。一方、現在大半の日本企業が採用しているメンバーシップ型雇用は、業務内容や勤務地を限定しない雇用形態です。社内の状況に応じて業務内容の変更や異動、転勤があり、勤続年数や年齢に伴って昇進・昇給していくのが一般的です。
わかりやすくいえば「仕事に人を付ける」のがジョブ型雇用、「人に仕事を付ける」のがメンバーシップ型雇用、といえるでしょう。
ジョブ型雇用制度を導入している日本企業としてKDDI株式会社を例に挙げると、同社では入社時には本人の専門性を踏まえた職種に配置されることが確約され、報酬もスキルや成果に応じて決定します。新たな事業領域へ挑戦していくためには、高い専門性を持った多種多様な人財が不可欠であるとの考えが、同社がジョブ型雇用を導入した背景です。
専門能力だけでなく組織を成功に導く「人間力」も評価基準とすることで、欧米型とも異なる独自の雇用制度を作り上げた好例です。また、キャリアデザインセミナーや社内副業制度など、キャリア形成を支援する独自のジョブ型雇用制度にすることにより、採用ミスマッチの回避につなげています。
参考:KDDI株式会社「KDDI版ジョブ型人事制度」
とはいえ、ジョブ型雇用はすべての企業に効果的という訳ではありません。
業務量が流動的な企業や部署の場合、むしろ業務量に合わせて人材を配置できるメンバーシップ型雇用のほうが効率的に業務を回せます。ジョブ型雇用の導入を検討する際は、メリットやデメリットを理解した上で、自社に導入した場合にメリットが勝るのかどうかを慎重に判断することが重要です。
ジョブ型雇用のメリット/デメリット
ジョブ型雇用のメリット・デメリットには、以下のものが挙げられます。
・戦略的に人材を採用できる
・職務と待遇が連動する
【デメリット】
・優秀な人材が流出しやすい
・異動や転勤などの流動的な配置ができない
ジョブ型雇用では、業務内容を明確した上で採用活動を行うため、求めるスキルを持った人材からの応募を得やすくなります。そのため、スキル面での採用ミスマッチが発生する可能性を抑えられ、職務と待遇が連動すれば、従業員の報酬への不満も減らせるでしょう。
一方、ジョブ型雇用では業務内容や職務を限定しているため、流動的な配置はできません。業務負荷が増えた部署に他部署から人員を補充するといった対応には向いておらず、時期的な要因などで業務量が変動することが多い企業には、ジョブ型雇用は向いていないといえます。
そうした企業では、配置転換が発生しにくい部署や職務など、ジョブ型雇用を適用する範囲を限定することで、メリットを享受できるでしょう。