腸内フローラを決める3つの要因

腸内細菌の研究は世界中で進められていますが、最新鋭の測定器を用いたオランダの研究で、ヒトの腸内フローラが何によって決まるのかが明らかにされました。世界的な科学論文誌『ネイチャー』に発表されたものです。

それまでは、腸内フローラを決定する要因の1つは病気だと考えられていました。「○○の病気で△△菌が増える」といった理屈です。

ところが、ある地域の集団の腸内細菌を徹底的に調べたところ、それ以外の3つの大きな要因によって腸内フローラが決まることがわかってきました。

1つ目は「食事」です。腸内細菌はヒトの食事の一部をエサにしているので当然といえば当然ですが、何を食べているかはヒトの腸内細菌を決定づけている大きな要因の1つです。

2つ目は「小さいときの環境」です。生まれるときの赤ちゃんの腸は無菌状態です。そこから、母乳や食べものなどに含まれる細菌が腸に棲みつきます。それらの細菌が腸に定着するのは3歳ぐらいだといわれています。つまり生まれてから3年くらいの生活環境が腸内フローラを決めているというわけです。

3つ目「現在の環境要因」です。乳幼児のときに棲みついた腸内細菌はずっと変わらないで腸の中にいるわけではありません。

この環境要因には食べものはもちろん、どんな人と一緒に暮らしているか、あるいは収入まで影響していて、健康や病気の影響は意外に少ない可能性があるというのが、この論文の結論になっています。