将来的に年金減額が現実路線のなか、早めに資産形成に着手したいもの。もし40歳から資産形成をスタート、毎月資産運用に回せるお金は5万円だとしたら、60歳の定年までに「老後資金2,000万円」をつくることは可能なのでしょうか。考えてみましょう。
40歳サラリーマンとパート妻「毎月5万円」を積み立てたら…60歳までに「老後資金2,000万円」達成させる資産運用

「月5万円」を積み立てるなら…「20年で2,000万円」をつくるには年率何%がマスト?

一方でこんな統計調査も。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の平均月収は、40代前半で37.0万円(手取り29.0万円)、40代後半で39.5万円(手取り30.7万円)、50代前半で42.1万円(手取り32.9万円)、50代後半で43.1万円(手取り33.4万円)であり、夫の稼ぎだけでは毎月1万~3万円程度の赤字になります。平均的なサラリーマン世帯では、共働きは必須だといえるでしょう。

 

いわゆる「103万円の壁」を意識しながら働くなら、最大月8.5万円ほどのパート・アルバイト代。そうなると月5万円ほどの黒字が生まれる計算です。では毎月5万円を資産運用していくことを考えていきましょう。

 

毎月5万円の黒字を預貯金にまわしていったら。利息がゼロであれば、単純計算、60歳で1,260万円になる計算です。では定期預金で利息がついたらどうなるでしょうか。金利0.3%と比較的金利の高いネット銀行を利用したとして、毎月5万円を貯蓄にまわせば、60歳には1,300万円ほどになる計算です。

 

年率1%で資産運用できたらどうでしょう。毎月5万円を資産運用に回すと、60歳には13,278,062円になります。

 

年率2%ではどうでしょう。毎月5万円を資産運用に回すと、60歳には14,739,842円になります。

 

年率3%ではどうでしょう。毎月5万円を資産運用に回すと、60歳には16,415,100円になります。

 

年率4%ではどうでしょう。毎月5万円を資産運用に回すと、60歳には18,338,731円になります。

 

年率5%ではどうでしょう。毎月5万円を資産運用に回すと、60歳には20,551,683円。とうとう2,000万円を超えました。

 

毎年5%で運用とは……たとえば資産運用でメジャーな投資信託の過去3年間の平均利回りは、国内株式型が10%程度、海外株式が17%、国内債券型が▲0.8%、海外債券型が3.7%。昨今の世界的な株高を受けて高い利回りを記録している国内株式型の投資信託、その波にのることができたら、年率5%目標をクリアできたかもしれません。また資産運用における利回りについては、専門家の間で言われてている目標値はさまざま。ただ3~5%程度を目標値とするケースが多いことから、「月5万円を年5%で運用」は40歳からの資産運用で60歳までに2,000万円を作る際の現実的なロードマップといえるかもしれません。

 

2024年からは新NISAもスタート。より投資による資産運用をバックアップしてくれる体制が整いつつあります。自由度が増した分、より自分の判断が試されるシーンが多くなりました。投資であれば当然元本割れなどのリスクは付きまといます。またリスクをどれだけ許容できるかは人それぞれです。自身がどれほどのリスクを抱えることができるのか、しっかりとしたシミュレーションのもと、資産運用を進めることが重要です。

 

[参考資料]

金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』

総務省『家計調査 家計収支』(2023年平均)

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』