知っておきたい「4種類のリフォーム業者」

そうは言っても、建てた会社がもう存在しない、人手不足などの理由でリフォームの対応をしてくれない、どうにも不信感が拭えない、などという場合は他を探すしかありません。リフォーム業者は世の中に数多く存在しますので、その中から選ぶ方法を考えていきましょう。リフォーム業者は大きく、次の4種類に分けられます。

Ⅰ.ハウスメーカー系

Ⅱ.地元工務店

Ⅲ.リフォーム専業者

Ⅳ.専門業者

 出所:『やらなければいけない一戸建てリフォーム』(自由国民社)より抜粋
[図表1]リフォーム業者の分類
出所:『やらなければいけない一戸建てリフォーム』(自由国民社)より抜粋

この4種類の業者は、[図表1]のような関係になっています。

Ⅳ.専門業者とは、塗装屋、タイル屋、防水屋、左官屋、屋根屋、板金屋、サイディング屋、設備屋、電気屋、ガス屋等々、実際の作業を行う職人を抱えている業者のことです。リフォーム工事には複数の専門業者が関わることがほとんどですので、各専門業者を統括する監督者が必要になります。

その監督者に当たるのが、Ⅰ.ハウスメーカー系Ⅱ.地元工務店Ⅲ.リフォーム専業者です。Ⅰ.ハウスメーカー系とⅡ.地元工務店は基本的に新築も行っているところが多いため、一戸建てであれば全般に詳しい知識を持っており、依頼先として安心感はあります。

ただ世の中にはⅢ.リフォーム専業者の数も多く、こちらは工事内容によっては知識の偏りが大きい場合もあるため、依頼する際には注意が必要です。では、Ⅰ.~Ⅲ.の特徴について、[図表2]で詳しく見てみましょう。

 出所:『やらなければいけない一戸建てリフォーム』(自由国民社)より抜粋
[図表2]リフォーム業者の一般的な特徴
出所:『やらなければいけない一戸建てリフォーム』(自由国民社)より抜粋

Ⅰ.ハウスメーカー系とは、新築を行っているハウスメーカーに属する、リフォームを行う部門や子会社のことです。自社で施工したオーナー専門の場合もありますが、一般建物のリフォームを主力としている場合も多くあります。基本的に工事は下請けの工務店などに任せることが多いため、中間管理費がかかり、費用相場は高めになります。

しかし、高付加価値のサービスに力を入れていることが多く、設計提案力・保証・品質・ブランドの信用力などを考えると、出来上がりの満足度や長い目で見た費用対効果も期待できると言えます。

デメリットとしては、見積りの算出やアフターサービスなど、何かと対応に時間がかかることが多いという点が挙げられます。これはハウスメーカー系の窓口となる担当者から、実際に現場で動く施工業者までの間に関わる人が多いためです。ハウスメーカー系とリフォームを進める場合は、打合せなどの準備期間を長めに考えておくと良いでしょう。

Ⅱ.地元工務店とは、地域の専門業者を取りまとめ、新築やリフォームの現場を一括で管理・監督する業者のことです。ハウスメーカー系やリフォーム専業者などの下請けとなる場合も多いですが、自社で独自に営業活動を行っている場合もあります。地域密着で活動していることが多く、何かあったときには素早い対応が期待できる安心感もあります。

ハウスメーカー系に比べれば費用は抑えめとなる場合もありますが、その分提案力が十分でないなどの弱点もあります。もちろん設計や提案に力を入れている地元工務店もありますが、その場合はその設計料が計上されるため、それなりの費用相場になります。地元工務店に依頼するなら、ちょっとした不具合でもすぐに対応してもらえるフットワークの良さや、掛かりつけのお医者さんのように末永いお付き合いができそうなところを選ぶと良いでしょう。

Ⅲ.リフォーム専業者とは、ハウスメーカー系や地元工務店が新築から派生してリフォームを行うようになったのに対し、最初からリフォームを専門としてできた会社です。リフォーム業は500万円未満の工事代金であれば建設業の許可も不要なため、新規参入のハードルが低く、多種多様・大小様々な業者が存在します。

中でも皆さんにご注意いただきたいのは、特定の工事に特化したリフォーム専業者に依頼する場合です。リフォームは部分的な工事の需要も多いため、専門業者がリフォーム業を始めるケースが多くあります。例えばキッチンやユニットバスの交換などを行う設備の専門業者が、内装や木工事などのサービスを始めて、設備機器類の交換がメインのリフォーム専業者になったり、塗装の専門業者が足場や防水などのサービスを始めて、外装がメインのリフォーム専業者になったりという形です。

この形態では中間管理費などが抑えられるため低価格が狙えますが、建築士などの資格を持った現場監督がいなかったり、現場管理者の知識に大きな偏りがあったりする場合には、知識不足による不良工事が起こる可能性もあります。低価格というのは魅力的ですが、省かれたコストが重要なものであったら、それは安かろう悪かろうとなってしまいます。

一戸建てのリフォームはマンションと違い、構造体の修繕も同時に考えなければならないため、構造体の修繕についての知識を持った監督者が必要です。業種別に専門業者に直接依頼することを業界用語で「分離発注」と言い、それはコストダウンの王道です。

しかし、省かれたコストは監督や設計の経費ですから、そこに費用をかけないことは皆さんにとって大きなリスクとなる可能性があります。



高橋 みちる
リフォームコンサルタント
アールイーデザイン一級建築士事務所 代表