まずは「家を建てた会社」を調べよう

まず、あなたの家を一番良く知るオールマイティーなスペシャリストがいます。あなたの家を建てた会社です。

建てた会社とは、建築の請負契約を交わした相手のことです。建売住宅の場合は不動産業者と売買契約を交わしているかもしれませんが、その場合は不動産業者が自社で建てている場合もありますし、協力業者の工務店が建てている場合もあります。誰が建設したのかわからない場合は、新築時の「建築確認申請書」を見れば、工事施工者を調べることができます。

建てた会社がわかったら、まずはそこに問い合わせてみましょう。年代によって工法や仕様が決まっている場合が多いため、新築年月を言えば「あぁ、その年代の方からこういうご要望は多いですね」なんて話が通じることもあります。

新築時の設計資料は法律で15年間(2007年以前は5年間)の保存義務が定められていますが、その期間を過ぎていても資料が残っている場合も多いですし、建てたときの現場監督がまだ在籍している場合もあります。あなたの家についてゼロから完成まで関わり、最も知り尽くしている相手です。何かあった場合に、最も正解に近い答えを導き出してくれるパートナーと言って良いでしょう。

時々、「新築時に嫌な思いをしたので、もうあの工務店とはお付き合いしたくない」というような話を耳にします。建築というのは人の手で造り上げるものですから、担当者の不手際によって嫌な思いをしたり、施工ミスによって不信感を抱いたりなどの経験された方も多いかもしれません。

しかし、それはどこに依頼しても起こり得るリスクです。担当者の対応に不満があるなら担当を変更してもらうこともできますし、施工ミスが心配であれば第三者機関による検査などを利用するという方法もあります。

建てた会社と縁を切るというのは、あなたの大切な財産である家の主治医を失うようなものです。既に倒産していたり、存続していてもリフォームの対応を断られたりしたなら他を探すしかありませんが、そうでなければ一番に相談する相手は「建てた会社」と考えるのがベストです。

また、ハウスメーカーで建てた方は特に注意が必要です。ハウスメーカーというのは独自の技術基準を持っており、自社の設計ルールに従って緻密な計算の基に造られているものです。構造図面は企業秘密として施主にも渡されない場合がほとんどですが、リフォームでは構造図面なくして計画を立てることは極めて困難です。

つまり、ハウスメーカーで建てた家は、建てたハウスメーカーでなければ適切なリフォームを行うことは難しいということです。ハウスメーカーで建てた方は、基本的にすべてのリフォームやメンテナンスはそのハウスメーカーに依頼すると考えた方が良いでしょう。