非常に長持ちする強靭な材料でありながらも「雨」に弱いという欠点を持つ、日本の戸建住宅。メンテナンスを続けながら長く暮らしていくにあたり、「雨から家を守る一番の主役である、屋根のメンテナンスが重要」と、一級建築士の高橋みちる氏は言います。高橋氏の著書『やらなければいけない一戸建てリフォーム』より、戸建住宅の「絶対寿命」を最大限延ばすために必要不可欠なリフォームについて、詳しくみていきましょう。
木造住宅を“死”に至らしめる「雨漏り」「シロアリ」
家の絶対寿命について考えてみましょう。そもそも家が壊れてしまっては、絶対的に住めなくなってしまいますよね。
まず家の絶対寿命はどうやって決まるかというと、基本的には構造体である柱や梁などがしっかりと強度を保っていることが条件です。では柱や梁に使われている木材の寿命はというと、数百年~1,000年程度は伐採時の強度を保つといわれるほど非常に長持ちする材料です。その耐久性は、既に日本の歴史的な寺院などが実証してくれていますよね。
しかし、そんな強靭な木材にも弱点があります。雨漏りとシロアリです。住宅に使われている木材は外壁と内壁に挟まれ密閉されているので、ひとたび雨漏りが発生すると、壁の内部に閉じ込められた水分によって木が腐ってしまうのです。
腐った木材はシロアリの大好物ですので、シロアリ被害も受けやすくなります。つまり、構造体を雨から守る屋根や外壁などの外装バリアが機能しなくなることは、木造住宅にとっては死に至る病にもなり得るのです。また、家というのは構造体だけでなく、水道などのインフラも大事な要素です。
これらの家の絶対寿命を延ばすために実施するメンテナンスは、やらなければ住めなくなるという意味で、「やらなければいけないリフォーム」に位置づけられます。
このリフォームでは、限界まで使ってしまうと重大な被害につながる部品を、適切に延命・交換していきます。ではやらなければならないこととは一体何なのかを、次に見ていきましょう。それぞれのメンテナンスに対し工事費の目安を載せていますが、建物の大きさや選ぶ商品などによって金額は異なりますので、あくまで資金計画の目安としてご参考にしていただけばと思います。
木造住宅をいかに「雨水」から守るか
雨漏りは木造住宅にとって死に至る病にもなり得る、とはなかなか衝撃的な表現をしてしまいましたが、そのくらいの覚悟でしっかりメンテナンスをしていただきたいところです。では、構造材を雨から守る重要な役割の外装材について、その寿命と延命方法について考えていきましょう。
主要な外装材は、[図表1]のとおり屋根・外壁・バルコニーの3つです。これらは新築から10年以内に雨漏りを起こせば、「瑕疵(欠陥)」として売主に補償を求められる部位です。外装材は常に強い日差しにさらされていますので、基本的には定期的に塗装をすることで紫外線から保護し、塗膜による防水効果などにより部材の延命を図ることがメンテナンスの中心となります。
材質や部位によりメンテナンス方法は異なりますので、それぞれの部材について詳しく見ていきましょう。