温泉旅行へ行く際、欠かせない「宿選び」。予約サイトが充実している昨今では、ネットから宿への予約を行う人も多いようですが、「いい宿に泊まるには電話での予約が1番である」と、温泉学者であり、医学博士でもある松田忠徳氏は言います。松田氏の著書『全国温泉大全: 湯めぐりをもっと楽しむ極意』(東京書籍)より、詳しくみていきましょう。
宿の予約サイトで、空室状況や料金を事前に確認
宿は早めに部屋を埋めたいため、宿の公式HPから入る自社予約サイトでは、2週間ほどをめどに「早割プラン」を設定しているところがあります。また空室状況は宿が1番把握しているので、「直前割プラン」を設定しているところも見受けられます。
自社予約サイトをもつ宿は、意欲的な施設と見て間違いないでしょう。制作費や運営費などのコストがかかりますので、OTA(Online Travel Agent、オンライン旅行代理店)の予約サイトにはない“特典”を設けることも多く、そこが狙い目です。正月やゴールデンウィーク、夏休みなど、混み合う時期のキャンセル待ちが可能なことも、自社サイトの優位性でしょう。
たとえば栃木県の塩原温泉郷(奥塩原新湯温泉)「やまの宿 下藤屋」では、早くから自社予約サイトを立ち上げ、現在はじゃらん、楽天トラベル経由の予約に次いで3番目の多さだというだけに、魅力的な公式HPを立ち上げています。客室数22室、乳白色の硫黄泉はもちろん源泉かけ流し、とくに料理が評判で、私も高く評価している宿のひとつです。
「下藤屋」のインターネット会員になると、初回の宿泊料金は5%割引きになるなどの特典があります。またインターネット会員の客が、インターネットを通して予約した場合にのみ適用される「会員限定プラン」もあるようです。食事などに関して、“要望欄”もあるのは自社予約サイトならではでしょうか。
このような自社予約サイトをもつ宿は増加傾向にあります。「鶴雅グループ」(北海道)、「星野リゾート」(長野県)などの大手に多いのですが、「下藤屋」や伊豆長岡温泉「ホテル 天坊」(静岡県)などのような中小規模の宿にも広まっています。「ホテル 天坊」は、露天風呂付き源泉100%かけ流しの貸切風呂を有します。公式サイトは過剰な派手さがなく、見やすく利用勝手の良いサイトで好感がもてます。
宿のHPから自社予約サイトに入る場合、または電話で直接問い合わせたり、予約する場合は、事前にOTAの予約サイトで空室状況や料金をだいたい把握した後にすると効率的でしょう。
電話での問い合わせは宿のチェックイン、チェックアウト時の混む時間帯を避けるのが上手な利用法で、その方が宿もしっかり対応してくれるでしょう。チェックアウトは大半が10時ですが、高級旅館では11時のところもあります。午前10時から午後1時頃までの時間帯、及び午後7時から9時にかけてが頃合いでしょうか。
松田 忠徳
温泉学者、医学博士