老後の住まいに対して、持ち家だろうと賃貸であろうと、不安を抱く人が多いようです。そんな不安を払拭する解決法のひとつが「老人ホーム」。看取り看護もOKというところであれば、最期まで安心して入居できるでしょう。しかし、その安心が100%とはいえないようです。みていきましょう。
終身契約のはずが…年金16万円の80代男性、1ヵ月の入院で「老人ホーム」から追い出された「まさかの理由」

老人ホームから「退所を言い渡される」4パターン

看取りに対応していて終身利用可という老人ホームでも、施設の規定などにより、退所せざるを得ないケースがあります。老人ホームには「退去要件」でよくあるのは、「①長期入院した場合(90日程度の施設が多い)」「②身体状況が変わり、施設での対応が難しくなった場合」「③費用の支払いが難しくなった場合」「④他の入居者、スタッフへの迷惑行為があった場合」の4つ。前出の男性の場合、②にあたります。

 

①の場合、入院中も老人ホームへの管理費などの費用を支払わないといけません。老人ホームへの支払いに加え、病院への支払いも加わり、経済的な負担は二重に。もし初めから入院が長期となることが分かっているなら、早めに退去を検討したほうがいいでしょう。

 

④は、認知症患者によるものが多く、認知症も対応可という施設でも度を過ぎた場合「うちの施設ではお手上げです」と判断されることがあります。

 

「退去してください」と要請があったら、すぐに退去しなければならず、宿無しに……そんなことはないので、そのあたりは安心を。多くの施設が90日程度の猶予期間を設けているので、その間に新しい施設を探すなど、対応を講じることになります。

 

せっかく入居した老人ホームからの退去要請。頻繁にあるものではありませんが、珍しいものでもありません。万が一、退去せざるを得なくなった場合のことを考えて、マネープランは余裕をもってシミュレーションしておきたいものです。

 

[参考資料]

株式会社AlbaLink『老後の住まいに関する意識調査』

総務省『2022年平均 家計調査 家計収支編』