近年の収益不動産のトラブルで特に増えているのが、高齢者の家賃滞納です。高齢者の賃貸での一人暮らしは孤独死の危険性もあり、大きな問題となっています。今回は、高齢の家賃滞納者に悩むAさんの事例とともに、不動産オーナーが抱えやすい高齢住民トラブルとその対処法について、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が解説します。
「もしかしたら死んでいるかもしれない…」父から継いで築古アパートの大家となった50代男性、高齢・家賃滞納入居者の扉を恐る恐る叩くと…まさかの事態に唖然【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

孤独死に備えた保険まで…不動産オーナーが利用できる各種サービス

しかし、以上のリスクを恐れて高齢者を受け入れるアパート等が減っていくことは社会問題にもなりかねません。そこで近年、こういった高齢者の問題のリスク対策として、高齢者等の入居トラブルに対応するサービスが注目を浴びています。

 

まず、家賃保証ですが、滞納した家賃を立て替えてくれるサービスです。ほかにも更新料や原状回復費用などにも対応してくれるサービスもあります。

 

高齢者だけでなく、いまは外国人の入居も増えていますが、外国人や障がい者といった広い範囲も対象とするサービスもあります。こういった保証料は入居や更新の際に入居者が支払うことが原則のため、オーナーの費用負担はありません。

 

次に孤独死ですが、孤独死保険というものがあります。原状回復のための費用や遺品整理のための費用、空き室等の家賃補填といったリスクに対応できるのです。なお、保険料はオーナーが支払いますが、保険料は一部屋につき年間3,000円前後と負担となるほどの金額ではありません。

 

見守りサービスも充実してきました。警備保障会社や宅配便会社などがサービスを提供していますが、通報ボタンやセンサーなど方法により月額費用も1,000円程度~5,000円超とさまざまです。

 

行政に相談することも重要です。入居者が仕事がなくなったり突然の病気やケガで動けなくなったりすることもあります。介護認定や生活保護など入居者が受けられるサービスがあるかもしれませんので、前もって窓口などを調べておきましょう。

 

副業でアパート経営を始めている方や検討している方は、ますます増える高齢者へのリスク対策を考えておく必要があります。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表