終の棲家の候補に挙げられる「老人ホーム」。入居の理由はさまざまありますが、その際悩むのが「いつ、入居すべきか」という点です。本記事では、老人ホーム事業を営む株式会社ハピネスランズの代表であり老後資金アドバイザーの伊藤敬子氏が、老人ホームへ入居する最適なタイミングについて、事例を交えて解説します。
胸が張り裂けそうです…年金月23万円、老老介護で限界の80代両親を「老人ホーム」へ入居させた50代長男の後悔 (※写真はイメージです/PIXTA)

何歳に入居するのかベストなのか?

ずばり筆者は75歳がベストとお薦めしています。しかし、ここでなぜ75歳なのか?と疑問を抱かれる方もいらっしゃるでしょう。

 

筆者が75歳での老人ホーム入居をお薦めする理由は、75歳であれば、誰の手も借りずに自分で自分のことができ、むしろ誰かを手伝うくらい元気な人が多いからです。元気ならまだ入居させなくてもよいのでは?と思うかもしれませんが、元気だからこそ、この年齢が最適なのです。

 

人間は高齢になればなるほど新しい環境に適応するのに時間と体力、知力を要します。75歳前後の元気な状態であれば、ホームが新しい家となるのに対応できるのです。

 

高齢であっても、

 

1.食事

2.運動

3.コミュニケーション

 

を手伝ってもらえる環境が手に入れば、実は認知症を深刻にせず、食べて、排泄して、喋って……周りに迷惑をかけずに100歳まで過ごせる理想の歳の重ね方が可能になります。

早く老人ホームに入るとその分嵩む「入居費用」

入居費用に充てるのは、年金や家賃収入など、貯金ではなく自分が存命のあいだずっと得られる収入の方法が理想です。

 

最近は自宅をシェアハウスに貸し出し、リフォームすることで古い家の資産価値を上げながら、オーナーである高齢者が見回りに帰れるスタイルが増えてきています。国土交通省の「令和元年住まい環境モデル事業」や東京都の「空き家活用事業」にさまざまな活用例も掲載されています。

 

また、定期預金の利率が極端に低いなかで、すべて普通預金として持っておくのではなく、新NISAや投資信託等の資産運用でお金に働いて増えてもらう必要があるでしょう。

 

大切なのは、困窮した事態に陥る前に、なるべく早いうちから準備を進めておくことです。

 

 

 

伊藤 敬子

株式会社ハピネスランズ 代表

老後資金アドバイザー