終の棲家として人気が高まる「老人ホーム」。施設を選ぶ基準やこだわりは人それぞれですが、見学を繰り返し「やっと終の棲家を見つけた!」と入居が決まっても100%安心といえるわけではありません。時には、まさかの理由で「強制退去」になることも。みていきましょう。
年金月12万円・80代の母、突然「終の棲家の老人ホーム」を強制退去…50代の娘「突然出て行けって、そんな酷い話あります?」

増加する「有料老人ホーム」…その理由は?

近年、高齢者の住まいの選択肢として急激に増加した「有料老人ホーム」。民間企業が経営する介護施設で、大きく「介護付き」「住宅型」「自立型」の3つがあります。

 

「介護付き有料老人ホーム」は、その名の通り、介護サービスが充実した施設で、要介護認定を受けている人が対象の「介護専用型」と自立している人も入居可能な「混合型」があります。ちなみに「介護付き」を名乗れるのは、国が定めているサービスや設備の基準をクリアし、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設だけです。

 

「住宅型有料老人ホーム」は、自立している人から軽度の要介護者を対象にした施設で、日常生活のサポートをしてくれます。介護サービスの提供は基本的になく、外部サービスを利用します。

 

「自立型有料老人ホーム」は、自立していることが条件。要介護となったら、基本的に転居や退去しなければなりません。有料老人ホームの1%程度しかなく、選択肢が少ないのがデメリットといえます。

 

株式会社Speee/ケアスル 介護が行った『有料老人ホームを選んだ理由や費用に関するアンケート』によると、「有料老人ホームに決めた理由」として最も多かったのは「立地が良かったから」で21.7%。「費用が安かったから」19.6%、「スタッフや入居者の雰囲気が良かったから」17.4%、「介護体制が手厚かったから」15.2%、「医療体制・看護体制が整っていたから」13.0%と続きます。

 

有料老人ホームの月額費用はピンキリで、入居時の初期費用である入居一時金は0円から数千万~数億円という施設も。また月額費用も数万円から40~50万円程度まで幅があります。前出の調査によると、入居一時金は「ゼロ円」という人が54.2%、月額費用の最多価格帯は「11万~15万円」で32.6%。比較的リーズナブルな施設を選ぶ人が多いようです。

 

特に「住宅型有料老人ホーム」は利用者の費用負担が安いだけでなく、運営元の初期投資も比較的安価なことから、異業種からも次々と参入。利用者は2011年9万1,369人から、2019年29万3,326人と3倍強に、施設数も3,368軒から1万0,029軒と3倍弱と、急激に数を増やしています。