現代人の多くは「年に1回以上」お墓参りをしている
2023年8月に当社が実施したアンケート調査※1によると、年に1回以上お墓参りに行くと答えた人が74%という結果になりました。現代でも故人を偲び、墓石の前で手を合わせるという文化が根強く残っているということがわかります。
散骨後に海を再び訪れる「お参りクルーズ」が人気
当社のメイン事業である「海洋散骨」は、故人の遺骨を海へ撒く、墓石や墓標を持たない供養の方法です。一度海洋散骨をしたあとは、「お墓参り」のように故人の遺骨の前で手を合わせることができません。
そのため、「散骨したらそれっきり」という印象を持つ方がまだまだ多いようですが、実は散骨した海を再び訪れて、船上でお参りをすることができるのです。
当社では海のお墓参りを「メモリアルクルーズ®」と命名し、東京では毎月必ず1回以上、そのほかの地域でもご希望に合わせて出航しています。
形が残らない「海のお墓」を証明する、海洋散骨証明書
文字どおり海の上でおこなう海洋散骨では、ご家族の手から離れた遺骨は海中に広がり、留まらずに流されていきます。そのため、墓石のような目印が残ることはありません。
しかしその代わりに、散骨を実施したことを証明する「海洋散骨証明書」を発行することが厚生労働省のガイドラインでも推奨されており、当社でも散骨地点の緯度と経度を印した証明書を各ご家族へ発行しています。
メモリアルクルーズ®は、海洋散骨証明書に記された故人の散骨ポイントを訪れる、「散骨後のお参り」専用クルーズのサービスです。
故人を散骨した緯度経度ぴったりの地点をご家族で訪れる「チャーターメモリアルクルーズ」のほか、複数のご家族が船に乗り合う月一回の定期便「合同メモリアルクルーズ」も展開しており、こちらは一回の運航定員16名(*東京の場合)に対し、平均乗船率は82%※2と、季節によってはキャンセル待ちや増便を行うほど高い人気を集めています。
なかには乗り合わせたほかのご家族と意気投合し、悲しみをわかちあわれる方や、毎年同じ月に乗船し、1年後の予約を取っていかれる方もいらっしゃるほどです。
海洋散骨は、お墓の納骨などに比べてシンプルな葬送方法という印象を持たれている方が多いのが現状です。
しかしながら送り出したご家族にとっては、ほかの葬送方法と同様に故人を手厚く葬る手段のひとつであり、その後も故人との繋がりを感じられる「海のお墓参り」は重要な機会であるとおわかりいただけると思います。
※1【墓じまいに関する調査(2023年)】(https://hbclub.co.jp/news/20230810-1268/)
※2 ブルーオーシャンセレモニーの2023年1月~9月合同メモリアルクルーズ乗船者数と定員数の平均(自社調べ)
みなとみらい発 合同メモリアルクルーズのレポート
以下は横浜(みなとみらい出航)で海洋散骨を実施した方を対象とした合同メモリアルクルーズの様子です。
■11:00 出航
散骨コーディネーターより挨拶と船内設備についての説明があります。
お参りをするメモリアルポイントまで約30分間、参加者の皆さまは船内から景色を眺めて過ごしたり、デッキに出て風を浴びたり、思い思いに過ごしていました。
■11:30 メモリアルポイント(大黒ふ頭沖)到着
ご家族一組ずつ、後部デッキよりお参りの時間を設けます。海面に向かって手を合わせたり、散骨用の花びら※3を撒いて声をかけたりと、ご家族ごとに思い思いの方法でお偲びされるご様子が印象的でした。
※3 自然環境に配慮し、茎や葉を取り除いた状態でのお手向けを案内しています。
■11:55 合同セレモニー
ご家族ごとにお参りが終わったところで、2階デッキに上がりセレモニーを行います。散骨コーディネーターが鳴らす鐘の音が鳴り響くなか、それぞれが故人様への想いを胸に抱き、黙祷を捧げます。
お参りを遂げたご家族様の表情は晴れやかで、帰り道はご家族同士で会話をしながらみなとみらいの景色を楽しむ姿も見られ、和やかな空気のまま帰港しました。
■13:00 帰港、下船
参加されたご家族へのインタビュー
Tさん ―2022年にお父様を散骨(代行散骨プラン)
Q.船に乗らない代行散骨をしてみて、送った実感が持てなかったり、寂しさを感じたりすることはありませんでしたか?
いえ、全然。写真をもらって確認していたし、これで一区切りついたという感じでした。ただ一度は自分の目で見ておきたいと思っていたので、今回(合同メモリアルクルーズの)案内をみて参加しました。
Q. メモリアルクルーズ®はいかがでしたか?
実際に来て体験してみて、やはりこの(海洋散骨の)選択は間違いなかったなと思いました。
もともと父の意向で海洋散骨を選びましたが、意向に沿えたな、と実感できました。(散骨の)写真は見ていましたが、実際に来て体験してみて、横浜でも思っていた以上に「海」だなと。お墓の下でも四季を感じられるだろうけど、海からなら、街や自然や、いろいろな景色が見られて本人も飽きないと思います。
妹も連れてまた来たいです。
Eさん ―2020年にお父様を海洋散骨(合同散骨プラン)
Q. メモリアルクルーズ®は初めてですか?
初めてです。
Q. 乗船されていかがでしたか?
すごくよかったです。
本当はもっと早く来たかったんですけど、母の足が悪いのもあって踏み切れなくて……だから今回お知らせを聞いて行こうと思いました。気持ちの区切りもつけられたし、参加してよかった。また定期的に開いてほしいです。
Sさん ―2020年にお父様を海洋散骨(合同散骨プラン)
Q. 合同メモリアルクルーズはいかがでしたか?
すごく心待ちにしていたので嬉しいです。もし雨だったら……と不安で、母と2人でお祈りしていました。天候不良で出られなかったとして、自分たちで船を借りて……といってもなかなか無理じゃないですか。こんなに天気もよくて、本当によかったです。
Q. 横浜で海洋散骨をされた理由は?
横浜にはたくさん思い出があります。横浜が大好きなんですよ、父も母も。
特にみなとみらいは、生前の父と3人でよくドライブしに来ました。海洋散骨したあとも、横浜には何度も足を運びました。
父が亡くなってから、散骨するまではすごく迷いました。“墓じまい”とかもよく聞くようになったし、お墓どうしようかなと。でも父が好きな横浜で、海ならそこから色んな所へ旅に行けるな、と思って結局海洋散骨を選びました。散骨は(形が)残らないけど、ずっと心には刻まれているし、今もまったく後悔していません。
母が旅行好きで、父もその影響を受けて(旅好きになった)。キャンピングカーを借りていろんな所へ行きたいね、なんて話していた矢先に旅立ってしまって、結局行けなかったところがたくさんありました。
スカイツリーなんかも、父が亡くなってから母と2人で代わりに登って、「お父さんこんな感じだよー」って。思い出がいくつ残っているかが大切だと思います。
メモリアルクルーズみたいに、次に出かける場所があるというのは楽しみがあるということ。母が元気でいるための生きがいになっています。
次回もぜひ母と2人で参加したいです。
一年の最後に、今年お送りした故人様への敬意をこめた花束を
海洋散骨の実施数が増えるにつれてメモリアルクルーズ®のご利用者も増加しているため、当初東京限定でおこなっていた定期出航の合同メモリアルクルーズも、現在は東京と横浜、今後他のエリアでの展開も予定しています。
このように沢山の方にご利用いただいているメモリアルクルーズ®ですが、お客様のなかにはもちろん様々なご事情があり海までお越しになれない方もいらっしゃいます。
当社では、一年の締めくくりとなる12月最後の東京発・合同メモリアルクルーズ®にて、これまでお送りした故人様を偲び、ご家族に代わってお参りをしています。
散骨コーディネーターが海面に花弁を手向け手を合わせたあとは、水に溶けるエコフラワーのブーケをお手向けして一年の感謝を伝えます。
今年は創業以来過去最高となる、850組以上ものご家族様の海洋散骨をお手伝いさせていただきました。これまで関わることのできた故人様方が眠る海を守り、これから海洋散骨を望む方がより満足できるサービスをご提供できるよう引き続き取り組んでまいります。
まとめ
海のお墓参り「メモリアルクルーズ®」は、海洋散骨を希望する方々にとって散骨後も故人様とのつながりを感じることのできる貴重な機会です。
大切な家族を海に送り出したあと、直接ご遺骨の目の前に立つことができなくても、海の方角へ向かって想いを馳せたり、節目に合わせて散骨をした海を訪れたりすることは、従来のお墓参りと同様に故人を偲び敬う供養の方法であるといえます。
後々のメモリアルクルーズ®を見越して、また行きたくなるような海や故人様のゆかりある海を海洋散骨の場所として選択することもひとつです。
全国各地に80ヵ所以上、ハワイにも出航拠点を持つ当社では、散骨海域のご相談から現地への移動や宿泊の手配などトータルでお任せいただけます。理想の海洋散骨を叶えたい方はぜひ一度ご相談ください。