子どもの視力が悪くなっている原因は?
では、どうして子どもの視力は小学校から悪くなるのでしょうか。最新の研究から以下のことがいわれています。
1.屋外活動の減少
外で遊ぶ機会がめっきり減ってしまっていることが原因のひとつです。屋外での活動を増やすことは、多くの調査で近視から目を守る作用があることがわかっています。
外に出ると、日の光に照らされた環境でしっかり体を動かして遊ぶようになります。日の光はビタミンDを作り、日の光とともに活動するので「サーカディアンリズム」といって、体内時計を調節するのにも役立ちます。
また、鬼ごっこやかくれんぼなど、屋外活動をすると自然に「遠くを見る」習慣が芽生えてきます。
このような利点が近視を予防するといわれているのですが、最近は屋外活動の機会が減ってきていることで、近視の子どもが増えてきているのです。
2.“近くでものを見る作業”の増加
屋外活動の代わりに増えてきているのは「近見作業」といって、近いところで見ながら作業する時間です。近見作業には読書や、パソコン、スマートフォンやタブレットの使用などが含まれます。
実は、近くの物を長時間見ることは、眼の屈折システムに負担をかけ、近視を促進する可能性があります。
京都女子大学の研究によると、
- 30cm以下の距離で作業をする子どもは、それ以上の距離で作業をする子どもに比べて、近視の割合が2.5倍になった。
- 1 回の読書時間が30分以上の子どもは、30分未満の子どもよりも近視の発症率が高かった。
といった報告があります。
3.デジタルデバイスの使用
さらに、近年の子どもの遊びや生活の特徴として「デジタルデバイス」の使用が挙げられます。
コロナ禍により、タブレットやスマートフォンの使用が増加しました。また、スマートフォンがないと周囲とのコミュニケーションがとれないということで、買ってもらっている子どもも多いでしょう。
さらに、新型コロナウイルスの影響でリモートワークやオンライン学習が増え、インターネットが日常生活に欠かせないものとなりました。これに伴い、子どもたちもパソコンやスマートフォンを長時間使用するようになってきています。
このようなスマートフォンなどのデジタルデバイスと近視の関連性は、15件の研究のうち7つの研究で認められています。
このように、近年小学生から近視が進んでいることの背景として、さまざまな要素が絡んでいることがわかるでしょう。