持ち家と賃貸では、どちらが金銭面で有利なのでしょうか。ゼロから5年で1,000万円の資産形成に成功した経験をもつYouTuber・FPの「ミニマリストゆみにゃん」氏は、試算と統計データを基に、一定の結論を導き出したといいます。同氏の著書『オートで月5万円貯まる魔法の節約術』(KADOKAWA)から、一部抜粋してお伝えします。
「持ち家・賃貸」論争に決着?40年住むなら「新築の持ち家」が有利になる計算だが…結局は多くの人が損をしてしまうワケ【FPが検証】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収の5倍以上で持ち家のローンは組まないこと

マイホームを購入する際、不動産会社から「年収の7倍までローンが組めます」「奥様の年収も合わせればこちらの家に住めます」などと言われ、無理なローンを組んでしまいがちです。しかし、年収の5倍を超えてローンを組むと生活が苦しくなります。

 

なぜなら、住宅ローンの金利以外にもマンションの管理費や修繕積立金、リフォーム費用なども発生するからです。

 

日本はITバブル期をピークに年収が上がっていません。年功序列で年収が上がり、退職金で数千万円もらえると思って契約した人にとっては、大きな誤算が生じているのです。

 

年齢や勤続年数を重ねても年収は上がらない、リストラが実施されている、退職金は減らされている。でも税金と社会保険料は上がっているので想定の手取りになっていない状態です。

 

ちなみに、企業の寿命は家の寿命よりも短いことを知っていますか? 東京商工リサーチ「2017年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査」によると、2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、倒産した8,405社のなかに、業歴30年以上の「老舗企業」が2,288件含まれていました。

 

定年まで勤め上げて住宅ローンをコツコツ払っていこうと思っても、途中で勤務先の会社が倒産してしまう可能性も十分あるのです。しかも、いざ苦しくなって家を売ろうとしても、新築購入だとローンの返済額のほうが多くて、そのお金を工面できないので売ることもできないという負のループにハマります。

 

一般的に不動産価格は新築マンションで築15年、新築一戸建では築20年以降で下げ止まる傾向にあります。なので、マイホームを買う場合は築15〜20年の物件で、住宅ローンの借入金額は世帯主年収の5倍までにしましょう。

 

また、家はあるけど老後資金はないという状態は要注意。資産価値のある持ち家があると生活保護が受けられません。持ち家を売却して生活資金に充てたくても、売れるまで半年程度かかると、お金が底をつきます。実際、自己破産の原因はギャンブル(7.18%)よりも住宅購入(7.26%)のほうが若干多いのです(日弁連『2020年 破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】』参照)。

 

ちなみに既にマイホームをお持ちの方は、現在の資産価値を調べてローンの残債と合わせてプラスなのかマイナスなのか把握しておきましょう。イエウールなどのサイトを使って一度査定してみるのがお勧めです。

 

住宅ローンの残債+売却に伴う諸費用より物件価値のほうが高ければ何の問題もありません。あなたの買い物は正解です。

 

 

ミニマリストゆみにゃん

ファイナンシャルプランナー

YouTuber