「持ち家・賃貸」論争の結論は?
古くから「持ち家か賃貸か論争」というのがあります。どのように考えればよいでしょうか。
結論からいえば、「価値が落ちない中古の家」を買えば資産になるので持ち家が金銭面で有利です。また、新築の場合でも40年以上住むならば持ち家のほうが有利になります。
そうでない場合は、資産価値よりも「借金+諸費用」のほうが多くなるので、基本的に賃貸のほうが有利になります。
どういうことなのか説明します。
新築を購入する場合、売主側の利益が20%ほど販売価格に上乗せされています! マイホームの購入価格の平均は4,000万円程度、売主の利益を引いたら3,200万円の価値です。一方、支払いは住宅ローンの利子と将来の修繕費、仲介手数料、固定資産税などを含めると35年で総額6,000万円程度になります。この時点で3,200万円の家に6,000万円も支払っていることに!
しかも3,200万円の価値は毎年目減りしていき、耐用年数では一戸建ては22年、マンションは47年で価値がゼロになります。47年で価値がゼロになるものに6,000万円払うのです……。
さらに、価値がゼロになった後も、マンションの場合は管理費と修繕積立金で月5万円程度と、毎年固定資産税を支払い続けます。
このように実費計算すると賃貸との差は縮まります。なので、より資産価値が落ちないかどうかのほうが重要になってくるため、都心の駅近物件以外はお勧めできないという結論に至るわけです。
長く住むので関係ないと考えましたか? 確かにその通りで、「オウチーノ」のシミュレーションによると、マンションの場合は購入後42年目、戸建ての場合は38年目で賃貸が持ち家の生涯コストを上回ります。前述した「新築の場合でも40年以上住むならば持ち家のほうが有利」というのは、このことを意味します。
しかし、2021年に新規登録された中古マンションの平均築年数は27.23年、中古戸建で23.78年です(公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「REINS TOPIC 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」参照)。
つまり、一生ものと思って購入したマイホームを20年足らずで売る人が多いのです! 今の日本では3組に1組の夫婦が離婚しているというデータもあるので、離婚に伴い持ち家を手放すケースも多いと推測されます。
家を買いたい場合は結局は「浪費」になってしまうケースが多いということです。そう考えると、「持ち家のほうがお得!」は実現しづらいといえます。
人生の目標の中にマイホームがあるならば買ったほうがいいですが、お金を貯めて自由になるほうが優先なら賃貸にしておきましょう。