有料老人ホーム…4施設に1施設が値上げを決行!
――要介護5の母。老人ホームからの請求額に目が点
寝たきりとなった90代の母親が、有料老人ホームに入居しているという60代の女性。毎月の請求は、母親の年金の振込口座から引き落とされるといいます。
――先月の請求額は18万5,000円ほど。それが今月は24万円!
原因は昨今の物価高。事前に値上げする告知はあったものの、「最近はどこも値上げ、値上げばかり……仕方がないかぁ」くらいに考えていたといいます。「私たちの食費も結構高くなったし」と。
総務省『家計調査 家計収支編』で二人以上世帯の食費の推移をみていくと、最新となる2023年9月では8万0,851円。一昨年の同時期と比べると5%ほどの値上げとなっています。「値上げとなってもせいぜい自分たちと同じくらい」と考えていたら……3割ほどの値上げとなり、思わず言葉を失い、施設側の間違いではないかと問合せをしたといいます。
【二人以上世帯における「食費」の推移】
2023年9月:8万0851円
2022年9月:7万7,095円
2021年9月:7万3,873円
2020年9月:7万5,714円
2019年9月:7万5,492円
出所:総務省『家計調査 家計収支編』より
株式会社TRデータテクノロジーが行った調査によると、2023年8月時点で、有料老人ホーム月額費の値上げを行った法人は全体の26%。管理費の平均値上げ額は7,570円で値上げ率は21.5%、食費は4,810円で値上げ率は10.1%。また施設の月額費用別にみていくと、管理費では「20万~30万円」の施設が最も値上げ率が高く27.0%。食費では「10万~20万円」の施設が最も値上げ率が高く11.1%でした。
さらに昨今は、介護職員の賃上げも老人ホーム費用に影響を与えています。今後、ますますニーズは高まることは確実なのに人手不足は深刻化。処遇改善は必須ですが、その分、利用者にも皺寄せが懸念されているのです。