父子家庭が経済的困窮を招くワケ
東京都江戸川区在住、52歳でシングルファザーの吉田紘一さん(仮名)ちょうど1年前、4歳年下の妻を病気で亡くし、突然父子家庭世帯となりました。家族は14歳で中学2年生の娘がひとり。妻を亡くし失意のなかから始まった娘との暮らし。ようやく立ち直りつつあったところへ、昨今の物価高。吉田さんはいまあらためて「妻さえ生きていれば……」と家計状況に悩みを抱えています。その家計状況は以下のとおりです。
会社員の吉田さんの月収:手取り額30万円
派遣社員の妻の月収:手取り額16万円
貯蓄残高は350万円
13年前にマンションを購入。当時妻は働いていないかったため、住宅ローンは吉田さん名義で月の返済額は10万円。返済は吉田さんが74歳まで。団体信用生命保険加入。
子供の誕生を機に、夫婦の生命保険や子供の学資保険などに加入。月の保険料は合計で5万円(夫4万円、妻1万円)で、加入内容は以下のとおり。
≪夫の生命保険≫
終身保険300万円(死亡整理資金用)
定期保険3,000万円(遺族の生活費と学費の保障)
学資保険(娘18歳時の満期に220万円)
医療保険
がん保険
≪妻の生命保険≫
終身保険200万円
医療保険
がん保険
図表にあるとおり、妻が亡くなり毎月の家計収入が大幅に減り、毎月9万円の黒字が7万円の赤字の状況となりました。収入とともに支出も変化していますが、食費と水道光熱費が上昇しています。これがまさに物価高の影響です。それから教育関連費は娘が翌年の受験に向けて塾に通う頻度をあげたことで上昇しています。
一方、通信費、交際費、生命保険料は妻の分が無くなった分減少しており、結果として家計の支出額は以前と変わらずに、収入だけが減少した形となっています。
正社員で一定の安定収入があるにもかかわらず、経済的に困窮する父子家庭世帯になってしまう原因に『妻の経済的価値の軽視』があります。そのひとつが、夫婦の生命保険です。夫婦で月収が30万円と16万円であったことを考えると、生命保険があまりに吉田さんに偏り過ぎています。
もうひとつが妻の家事スキルです。妻生存時には月7万円だった食費が、父子家庭になってから9万円に上昇しています。これは物価高だけではなく、自炊ができず外食などが増えてしまったことも原因です。