少子高齢化による人口減少に伴い、空き家の増加が問題となっています。自分の死後、今住んでいる自宅がどうなるか考えたことはありますか?遺される家族にとって不動産は、資産としてのプラスの面だけでなく、相続問題や空き家の維持コスト等、マイナスの面もあるため、元気なうちに考えておかなければ後々家族に迷惑をかけることになるケースも……。そのようななか、自宅を生前に売却するという選択肢もあります。今回は、住みながら住宅を売却できる「リースバック」について、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が解説します。
「息子に迷惑をかけたくない」年金暮らしの70歳男性…自宅を“住みながら売却”したワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

増える空き家…放っておくと「負の遺産」へ

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

人生の1/3以上をかけて住宅ローンを完済し、理想の住まいを手に入れても終の棲家となるとは限りません。年老いて体の自由が利かなくなってくると、老人ホームなど高齢者施設への入居を選択することになるかもしれません。

 

また、この住まいを子供達が喜んで受け継いでくれるとも限らない時代です。将来は「空き家」という重荷に転じてしまう危険性もあるのです。

 

日本の空き家数の推移は次のとおりです。

 

※国土交通省「空き家の現状と課題」より
[図表1]空き家の種類別の空き家数の推移 ※国土交通省「空き家の現状と課題」より

 

空き家が増えることにより、次のような問題が想定されています。

 

◯防災性の低下
 倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下
 火災発生のおそれ

◯防犯性の低下
 犯罪の誘発

◯ごみの不法投棄

◯衛生状態の悪化、悪臭の発生
 蚊、蝿、ねずみ、野良猫の発生や集中

◯風景、景観の悪化

◯その他
 樹枝の越境、雑草の繁茂、落ち葉の飛散 等

 

親が残した不動産は子供にとっては不要かもしれません。空き家の維持にも次のようなお金がかかります。子供にとって「不動産」が「負動産」とならないか、考えてみましょう。

 

◯固定資産税・都市計画税
 場所にもよりますが、年間数万円~数十万円といった出費になります。

◯水道光熱費
 空き家でも水道や電気など基本料金だけでも年に数万円といった金額になります。

◯火災保険料
 空き家にも放火や自然災害、盗難といったリスクがあります。遠方だとすぐに駆けつけられませんし、空き家でも火災保険は必須です。こちらも年間に数万円の出費となります。

 

ほかにも草刈りや様子を見に来るために訪問の都度交通費がかかりますし、草むしりや不法投棄があった場合はゴミの処分など手間もかかります。

 

せっかく苦労して手に入れた住まいですから「お金がかかる」のではなく、「お金になる」方法を考えないといけません。そこで、不動産をもとにお金に換える方法についてみていきたいと思います。