「無給医師が日本の医療を支えている」という現実…正しいと思いますか?
医師が無給で働いている。これは言ってしまえば「労働の搾取」です。
医師が高給取りなのは、もちろん社会的意義も大きいですが、「それに見合う仕事」をしたからに他なりません。給料に見合った分の「売上」がそこにあります。
その売上を「カリキュラム」や「実績」「経験」などの目に見えない形に変え、巧妙にかすめ取っている……これが無給医師の実体なのです。なんとか早急に是正されなくてはなりません。
この問題による「医師の自殺」のニュースもありました。無給医師はいま、日本の医療界で社会問題となっているのです。
こうした現状を改善すべく、労働基準監督署から以下のような解決策が提案されています。
①労働実態の明確化と調査
厚生労働省は無給医師問題を医療の現場で解決すべき課題として明確に位置付ける必要があり、各労働基準監督署長に対して無給医師の労働実態を明らかにするための実効的な調査を行うように通達を発出する。
②法令に基づく適切な措置の実施
上記の調査により明らかとなった無給医師の実態に対し、労働基準法などの関係法令に則った適切な措置をとる。
ただし、これらの解決や歩み寄りはまだはじまったばかり。
全国医師ユニオンが2019年9~11月に行った無給医のアンケート調査「無給医労働実態調査 2019 」では、「無給医の73.2%が、無給医問題の解決のためには労基署が大学を調査することが必要である」と答えていますが、いまだに調査はごくわずかな状況です。
一刻も早く「無給医師」という不当な労働搾取が行われない社会を願っています。
秋谷進
小児科医