お金があっても「老後破産」の理由
年金月20万円以上、保有資産も3,000万円以上。どちらも日本の高齢者の五本の指に入るぐらいのゆとりがあれば、老後は安泰でしょうか。
不安が残るのは、高齢者の資産運用。同調査で「金融資産残高の1年前との増減」を聞いたところ、「増えた」が60代で30.8%、70代で23.4%。また「減った」は60代で26.8%、70代で32.6%。おおよそ、増えた人も減った人も3割、残りはほぼ変わらないと回答しています。
ではどれくらい増え、どれくらい減ったのかというと、増えた額の平均は60歳で2.2割、70代で2.7割。減った額の平均は、60代で平均3.4割、70代で平均3.3割。資産額の平均で考えると、500万〜700万円程度増減していることになります。
資産が減ったとしても「そんな時もあるよ」と、確実に取り戻すことができればいいのですが、なかには、負けが連続してあっという間に全資産を溶かしてしまう人もゼロではないでしょう。
日本人は諸外国に比べて「金融リテラシー」が低いと指摘されています。同調査でも「元本割れ経験がある」と6割が回答。投資である以上、元本割れがあるのは当然のこととして、不安を覚えるのは元本割れしたことへの受け止め方。
●自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない
60代…72.4%、70代…75.5%
●自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない
60代…16.4%、70代…16.5%
●相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ
60代…6.6%、70代…4.8%
●著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ
60代…4.6%、70代…3.2%
投資判断を自身の責任と考えている人が大多数である一方で、「よく分からないけど、儲かるなら買ってみよう」と投資商品に手を出したであろう高齢者は4人に1人程度います。このようなスタンスで資産運用にのぞんでは、どんなにお金に余裕があっても、あっという間に老後破産してしまうでしょう。自身でリスクを負えない限りは、金融機関からどんなに勧められたとしても手を出さないほうが身のためです。