老後の生活を支える年金ですが、専業主婦世帯がもらえるのは、夫の「国民年金&厚生年金」と妻の「国民年金」。ただこれで暮らしていくのは、少々難しいようです。「もう少し年金がもらえたら……」というなら、考えたいのが「年金の繰り下げ受給」。自分で年金を増やすことのできる制度ですが、果たして、夫婦の年金はどれくらいになるのでしょうか。
65歳なら「年金手取り20万円」だったが…70歳での「受取額」に専業主婦、歓喜 (※写真はイメージです/PIXTA)

専業主婦世帯、妻にキャリア中断のある共働き世帯、共働き世帯…それぞれの年金受取額

日本の老齢年金は、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の2つ。国民年金の年間受給額は「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」で計算できます。令和5年度、国民年金を満額受給できれば、年79万5,000円。もし5年間(60ヵ月)、保険料を払っていないなら、年69万5,625円で、1ヵ月あたり5.8万円ほどになる計算です。

 

一方厚生年金は、平成15年3月以前と平成15年4月以降に分けて、以下の計算式で求めます。

 

①平成15年3月以前

平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入期間の月数

②平成15年4月以降

平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、男性正社員(平均年齢43.5歳)の平均給与は月収で35.3万円、年収で579.8万円。女性正社員(平均年齢40.8歳)の平均給与は月収で27.6万円、年収で431.4万円です。

 

仮に20歳から60歳まで、正社員として平均的な給与をもらい続けたとしたら、年金受給額はいくらになるのでしょうか。簡易的な計算として、上記②の式だけで算出すると、平均的な会社員の場合、厚生年金は年123万6,513円、女性が94万7,116円。併給の国民年金は満額支給だとすると、男性は月16万9,292円、女性は月14万5,176円、もらえる計算です。

 

厚生労働省の調査では、65歳以上男性の平均年金額は16万9,006円と、前述の計算結果と近しい金額となっていますが、女性の平均年金額は10万9,261円と4万円強の差が生じています。現在、年金をもらっている女性は、結婚・出産を機に会社を退職するのが当たり前だった時代の人たち。昨今は、いわゆる寿退社は少なくなってきているので、時代と共に上記計算結果に近づいていくと考えられます。