日本の病院数や病床数は「多すぎる」?
では、病院数や病床数についてもみていきましょう。
実は、日本は「病院数」も「病床数」もトップクラスに多いのが特徴です。
まずは病院数から。同資料の統計によると、2020年の日本の病院数は現在8,238施設です。これは、世界でみるとOECD諸国のうち第2位にランクインしています。
100万人あたりの病院数でみても、コロンビアと韓国についで第3位となっています。
さらに、病床数についてもみていきましょう。同資料の統計によると、2020年の日本の1地区あたりの病床数は「1,593,572」床。これはOECD諸国のなかでトップ※となっています。
※中国は7,131,200床あるが、非OECD諸国
人口1,000人あたりの病床数でみると、日本は韓国についで第2位にあたります。非常に多いですよね。
このように、日本の病院や病床数は、世界トップクラスに多いのです。
見えてきた日本の医療の極端さと今後の課題
ここまでみていくと、日本の医療資源は極端に偏っていることがわかります。
看護師や薬剤師などのコメディカルに恵まれ、病床数も病院数も多いのに、医師数が世界下位ランク。1人あたりの医師の負担が圧倒的に大きいのです。
さらに、医療資源が都市部に集中しており、地方では医師不足が盛んに叫ばれています。
負担が大きいので、医師の労働時間が長く、過重労働が常態化するのもある意味当然です。
とはいえ、すぐに医学部の定員を増やす、または海外からの医師の採用を促進したところで一朝一夕に医師が増えるわけではありません。
コロナを通して日本の医療の偏りと脆弱さが露呈されました。今後の医療のあり方の見直しが求められています。
秋谷 進
小児科医